●少年1人を正式に受け入れる
これに先立つ11月には「再犯しないように地元を離れたい」との意向を持つ少年が1人、お試しでやってきた。期間自体は1週間だったが、講演に出る遊佐さんと東京に出たり、遊佐さんの実家に泊ったりしたこともあり、ホームの滞在は3日だった。一緒に料理をしてご飯を食べるなどして過ごした。
ホーム開設の許可が出たことから、少年は近いうちに遊佐さんの元に正式にやってくる予定だ。そして遊佐さんが紹介した解体工の仕事を始め、自立に向けた道を歩み始める。
こうしたホームは、保護観察所から委託を受けて活動している。その委託費は住居、食費、光熱費、自立準備支援費を合わせて1人1日あたり約5300円。昨今の物価高を考えると、「工夫しながらやっていかないと赤字になる」。
こうしたことから、遊佐さんが代表をつとめる「希望への道」は、月額会員制のサポーターを募集している。月500円から「俺ん家の仲間」になれて、イベントに招待されたり、仲間限定の活動報告メールが届いたりする。
●「どんな人でも変われるし、希望を持って生きてほしい」
遊佐さんの支える側としての活動は広がりを見せている。今年1月、国から「篤志面接委員」を委嘱された。南関東にある少年院を月1回訪問し、そこにいる1人の少年と1〜1.5時間の面会を重ねている。いつも伝えているのは、「どんな人でも変われるし、希望を持って生きてほしい」ということだ。
龍と不動明王の入れ墨が上半身にありながら、法務省から支える側に認められた遊佐さんの言葉には重みがある。面会している少年への大きな支えになるに違いない。
そんな遊佐さんは、自分一人の力だけでなくホームが少年らの更生を支えるハブ拠点になることを夢見る。
「多くの子たちが、ここに来て社会復帰する。でも、出ていったら終わりじゃなくて、実家のように気軽に帰ってこられる。そして、先輩が頑張っている姿を見て、今いる子も頑張ろうとする。『俺ん家』が、希望を持って人生の再スタートを切れる場所にしていきたいです」
配信: 弁護士ドットコム