●「木は全て切りました」とメッセージを送信
翌12日、Aは犯行を実行するために、午後0時ころにノコギリを購入。Aは同店従業員のBに対して、街路樹を切断するように指示し、犯行に及んだ。
その後、午後1時25分には、Aは男に対して「木は全て切りました」とメッセージを送信。
そうしたところ、元役員は街路樹と歩道を分けるコンクリート製の植樹帯にコケが生えていたことから、写真の中の該当部分を赤色で囲み、Aにコケを取るように指示したとのこと。その指示を受けたAは、コケを除去し、再び元役員へ写真を撮って送信したという。
その後、23年の「ビッグモーター問題」の報道を受けて、川崎市が現地調査を実施したことで本件犯行が発覚。川崎市は警察へ被害申告をし、元役員やAらを告訴した。
●「突如として消えた街路樹」
現場となった「ビッグモーター川崎店(閉店)」までは、JR川崎駅から直線距離で東側に約4km。日本の四大工業地帯の一つ、「京浜工業地帯」にほど近い川崎市の臨海部エリアにあった。
今年5月、「ビッグモーター」は伊藤忠グループなどに買収され、新会社が設立され、1980年の商号変更から44年続いた看板をおろした。騒動後、一部店舗は閉店しており、現場となった店舗も含まれていた。
営業当時の写真では、青色に白抜きで「BIG」と書かれた大きな背の高い看板に、店舗の壁には青色に黄色の帯が走る。店舗前には、多くの中古車が並んでいた。
だが、今は印象的な看板はなく、真っ白で簡素な建物だった。本件もあってか、今年1月で閉店したという。
検察側は、犯行前の19年に更新された「Googleマップ」のストリートビューの写真を証拠として提出。筆者がこの写真を確認したところ、店舗前の歩道上に翠色で背の低いオオムラサキツツジが6本生えていた。
しかし、23年10月に更新されたストリートビューの写真では、突如としてオオムラサキツツジ6本が消えている。確かに、車道からは切断された街路樹と、対角線上にある販売車両が重なってしまい、見にくいかもしれない。
配信: 弁護士ドットコム