子どもの鼻血が止まらない 危ない出血量の判断基準は?

第3回 子どもがよく鼻血を出すのはなぜ?
子どもはよく鼻血を出すもの。それはもちろん事実だが、一方で鼻血が止まらない場合、なんらかの病気が潜んでいる可能性もある。

鼻血が止まらない原因として考えられることは? どれくらい血が止まらなければ受診したほうがいいの? 応急処置で事足りるときと、受診したほうがいいときの見極めポイントとは?

給田耳鼻咽喉科クリニック院長であり、小児耳鼻咽喉科を得意とする杉崎一樹先生に「危険な鼻血」の見極めポイントについて聞いた。

●鼻血が止まらない! 受診の目安は?

「保護者の方が鼻血の出血量を把握することは難しいでしょう。子ども自身の血を固める機能が正常な場合は、下を向かせて小鼻を圧迫する正しい止血法を行えば5~10分で止まることがほとんどです。おおまかな目安としては、この止血方法を20分以上続けても血が止まらない場合は、耳鼻科や救急外来を受診することをおすすめします」(杉崎先生 以下同)

子どもの鼻血に関して保護者から頻繁に寄せられるのが、「ドロッとした血の塊が出たけど大丈夫ですか?」という声だそう。確かに、子どもの小さな鼻から血の塊が出てきたら親は心配になってしまうが…。

「レバー状の塊は出血した血液が固まったものです。鼻から出ることもあれば、のどに回った血液が固まって口から出てくることもあります。レバー状になるということは、子ども自身の血を固める機能が正常である証明。ですからそういう塊が出る自体は、特別な病気を疑う理由にはなりません」

レバー状になるということは、血が固まる機能が正常に働いているということ。「血の塊」という見た目のインパクトに慌ててしまうかもしれないが、それ以上、出血がないようならさほど心配する必要はないだろう。

鼻血を出している子ども

●「止まらない鼻血」との関連が疑われる病気

だが、長時間に渡って鼻からの出血が続く場合は、次のような病気との関連性が疑われる場合もある。子を持つ保護者として、念のため頭の片隅に入れておこう。

「血液が固まりにくくなるため血が止まりにくくなる血友病、血液をつくる細胞に異常が生じて免疫力の低下などによって出血しやすい状態になる白血病、血小板の数が減少して血が出やすくなる特発性血小板減少性紫斑病。これらの症状のひとつとして『鼻血が止まらない』ということもあります」

鼻血が出たからといってすぐに病院へ駆け込む必要はない。
正しい止血法を行えば、数分で血が止まるケースがほとんどだ。だが、素人目に見ても出血量が多い、顔色が青ざめている、1日に何度も鼻血が出てくるなどの症状が見られた場合は、耳鼻科か小児科を受診するようにしよう。

(阿部花恵+ノオト)

お話をお聞きした人

杉崎一樹
杉崎一樹
給田耳鼻咽喉科クリニック 院長
大学病院での最先端治療から、地域医療を担うさまざまな病院での診療まで、耳鼻咽喉科全般において数多くの症例を診断。得意な施術は耳鼻咽喉科全般、小児耳鼻咽頭科、めまい疾患。
大学病院での最先端治療から、地域医療を担うさまざまな病院での診療まで、耳鼻咽喉科全般において数多くの症例を診断。得意な施術は耳鼻咽喉科全般、小児耳鼻咽頭科、めまい疾患。