22歳のゆずは普段看護師として働いていました。結婚後、早く赤ちゃんを授かりたかったのですが、なかなか妊娠せず、不妊治療の病院へ通うために転職を決意。さっそく求人に応募をして面接を受けると、その場で即採用されたのですが、その際に部長から妊娠予定を聞かれ、何だかモヤッとしてしまいます。ゆずは現在不妊治療をおこなっている旨を伝えると、部長からは「理解があるから大丈夫!」という言葉が返ってきたのでした。
その後、不妊治療の通院の関係でゆずの勤怠が乱れてしまうと、部長は激怒してしまいます。すぐに謝罪をおこない部長とは和解したのですが、後日不妊治療をおこなった際に排卵誘発剤を使うと体に異変が起こってしまい、ある日突然ゆずは入院することに……。
それからしばらく経ち、退院日を迎えると、部長から電話がかかってきました。電話では不妊治療の直接的な原因を聞かれたり、男性も参加する会議で「この件は報告する」などと言われてしまい、精神的に参ってしまったゆず。
モヤモヤした気持ちを抱えながら仕事に復帰をすると、今度は後輩からデリカシーのない言葉を次々と言われ、イラ立ちを覚えてしまいます。さらに、妊娠しやすい体質の先輩から望まない妊娠をしたので堕胎したという話を聞かされ、行き場のない感情を抱いていたゆず。先輩はそんなゆずに「大丈夫! すぐできるから!」と声を掛けたのですが……。
辞める理由を伝えた瞬間、部長は激怒して…
職場を辞めたいと理由を伝えると、怒り出してしまった部長。
「まだまだ若いんだから、
治療なんか先でも大丈夫だから!!」
「自分中心に動くのもいい加減にしてくれる!?」
「それで全部ですか」
部長がすべての主張を終えると、今度はゆずが思っていることを言い始めたのです。
「若い方でも原因によっては不妊治療が必要になります。
ここにいたら仕事も不妊治療もまともにできません」
さらに、ゆずは「自分の人生は自分でしか舵を切れない」と主張。
「いろいろとご迷惑をおかけしました」
最後にそう言うと、お辞儀をして部屋を出て行ったゆず。
(やっと言えた……! ようやくこの職場から解放される……!)
解放感でいっぱいになりホッとしたのも束の間、
すぐに気持ちを切り替えて、転職先を見つけようと動き出したのでした。
「子どもをすぐに授かりたい」という気持ちが大きかったため、不妊治療をしながら働ける職場を求めていゆずさん。今の病院では面接の際にその事情を伝えたとき、それが叶うと思ったので働き始めたわけですが、実際に働いてみないとわからないことってありますよね……。“不妊治療を優先した上で、しっかり働きたい”と考えていたゆずさんと、“人手不足のため勤怠を乱さず出勤してもらいたい”という部長のお互いの譲れない条件がそもそも一致していなかったのが致命的な要因だったように思います。職場をまた新しく探すというのは大変だと思いますが、ゆずさん自身が働きやすいと思える職場とご縁があるといいですね。
監修者・著者:助産師 松田玲子
医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。
著者:マンガ家・イラストレーター ぺ子
配信: ベビーカレンダー(パパママ)
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