【人用ビーフジャーキー等】犬が一気食いしがち。多量に食べると食塩中毒に
塩分をとりすぎたことにより、高血圧や多飲、心臓・腎臓障害などが出ることがあります。ビーフジャーキーだけでなく、人用の加工肉は塩分が多いので与えないで。犬が届く位置に置くのもNG。
【生の甘えびやいか】チアミナーゼという酵素によりビタミンB1欠乏症に
ビタミンB1を破壊するチアミナーゼという酵素が含まれます。そのため、ビタミンB1欠乏症となり、脳の働きに影響が出て、うまく動けなくなることも。加熱するとチアミナーゼの働きは失われますが、消化しにくいことや甲殻アレルギーの問題もあるため、与えるのは控えて。また、加熱していないワラビやゼンマイなどを食べると、含まれるチアミナーゼによって、ビタミンB1欠乏症を起こすおそれがあります。
<チアミナーゼを多く含む魚介の一例>
・貝類(はまぐり、しじみ)
・淡水魚(こい、ふな、金魚)
・甲殻類(えび、かに) など
【コーヒー】カフェインの代謝能力が低く中毒に
犬は、カフェインの代謝能力が低く、コーヒーを飲むと強く反応が出てしまうようです。頻脈、興奮、呼吸が荒くなる、震え、下痢、嘔吐などの症状があらわれます。緑茶や紅茶、ココア、栄養ドリンクといった身近な飲み物にもカフェインが含まれています。緑茶のティーバッグを食べた犬が、カフェイン中毒で亡くなったケースも。
【シクラメン】株全体に毒成分のサポニンが
花や茎も含めたすべての部位に毒成分が含まれ、とくに球根の部分の毒性が強いとされています。嘔吐や下痢といった消化器症状を起こす可能性があります。
【芳香剤】化学物質によって体調不良を起こすおそれも
芳香剤は、一般的に香りのついた化学物質を含んでいます。化学物質に反応して体調不良を引き起こす化学物質過敏症が人で知られていますが、犬にも起こるおそれがあります。
中毒症状は早いと数十分で、遅いと数日後に出ることも
人用の薬の誤飲では数十分後に、チョコレートでは摂取後4〜15時間で症状が出るなど、口にしたものや量によっても中毒症状があらわれる時間に差があります。毒の成分によって症状も異なりますが、消化器症状(嘔吐や下痢)、神経症状(興奮やふらつき)、発熱、元気がないなどが多いと考えられます。
愛犬にとって危険なものがないか確認してみてくださいね。
お話を伺った先生/獣医師。日本獣医生命科学大学名誉教授。日本ペット栄養学会会長。佐向俊紀先生
参考/「いぬのきもち」2024年12月号『暮らしにひそむ犬に「毒」なもの』
イラスト/あらいのりこ
文/伊藤亜希子