●残りの分割代「支払ってもらうことはできない」
——そのほかに、タブレットを返してもらうために何か主張できることはありませんか?
今回のケースは書面を取り交わしていることはないと思われますから、「書面によらない贈与」(民法550条)として取消しできるかも検討してみます。
しかし、書面によらない贈与の場合、「履行の終わった」ものは取消しできません。
本件は、「タブレット」という動産であり、引渡しも済んでいますから、「履行の終わった」という要件を満たすことは明らかです。
よって、相談者が「タブレットを返して」と主張したとしても、相手はそれを拒むことができますので、相談者はタブレットを返還してもらうことはできません。
せめてタブレット代の残りの分割分を支払ってくれないかと考えるかもしれません。しかし、タブレット代を分割して支払う契約をしたのは相談者ですから、残りの分割分を支払ってもらうこともできません。
【取材協力弁護士】
濵門 俊也(はまかど・としや)弁護士
当職は、当たり前のことを当たり前のように処理できる基本に忠実な力、すなわち「基本力(きほんちから)」こそ、法曹に求められる最も重要な力だと考えております。依頼者の「義」にお応えします。
事務所名:東京新生法律事務所
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配信: 弁護士ドットコム