「うちの子おっぱいばっかり飲んで、離乳食をあまり食べてくれないんです……」離乳食インストラクターになってから、いちばん多く聞く悩みかもしれません。このお悩み、保育の現場でもよくある話です。
赤ちゃんが離乳食を食べないと、ママは本当に心配ですよね。私の息子も食が細い子でしたので、そのお気持ちは痛いほどわかります。今日は息子と娘の成功失敗談、0歳児ばかりを保育してきた私の経験をもとにお話しさせていただきますね。
うちの子はどうして食が細いの?
さて、どうして赤ちゃんはあまり離乳食を食べてくれないのでしょうか?月齢によって違うと思いますが、いくつか例を挙げてみましょう。
離乳食よりおっぱいが好き
この理由の赤ちゃんが多いかもしれません。ママに抱っこされ、おっぱい(ミルク)を飲む時間って、赤ちゃんにとって至福の時間。大好きで大好きで仕方ないと思います。「お腹がすいて、おっぱいがほしいのにママは離乳食を食べさせる!」と赤ちゃんは戸惑っているのかもしれませんよ。
離乳食に慣れていない
授乳する能力は生まれつき持っている能力。つまり練習しなくてもいい能力ですが、食べる能力、たとえば、上あごと舌ですりつぶす、ゴックンする、モグモグする、噛む、座って食べる、手づかみで食べる、スプーンを使って食べるなどの能力は練習して獲得します。練習して能力を獲得していくスピードは赤ちゃんによって違います。すぐ獲得できる子もいれば、ゆっくりタイプの子もいるのです。
その量がその子の適量
今食べている量が、あなたの赤ちゃんの適量のときもあります。離乳食本に載っている離乳食の量はあくまで目安。大人でも、人によって食べる量が違いますよね。「うちの子、完食してくれないんです」と言われてよくよく量を聞くと、「それだけ食べてたらじゅうぶんですよ」という場合もあります。
今日は、3つだけ例を挙げてみましたが、ほかにもさまざまな理由があると思います。赤ちゃんの様子を観察してみてください。
食の細い赤ちゃんへの対応法
さて、食の細い赤ちゃんに対して、ママはどう対応すればいいでしょうか?
離乳食は食べる練習期間ととらえる
離乳食は、食べ物を食べる練習期間です。もちろん全部食べてくれることは素晴らしいですが、完食することが目的ではありません。ひと口でも上手に食べてくれたらほめてあげましょうね。離乳食中の赤ちゃんにとって完食は目標ではありません。
無理強いしない
あなたは食べたくないものを、人からすすめられて無理やり口に入れられたら、どんな気持ちになりますか?私も息子にしていたので、えらそうには言えないのですが。あのとき、その気持ちに気付けば、お互いが楽に離乳食を進められていただろうなと感じます。
今食べてくれる食べ物を中心に
たとえば、おかゆなら食べてくれる場合。おかゆを中心にプラスアルファーすることを考えましょう。ほんの少しずつ食べられる食材を増やしていけば大丈夫です。
食べなくても離乳食の時間は規則的に
食べなくても食卓に離乳食を出すことで、赤ちゃんは、離乳食を見る、嗅ぐ、聞く、触るなど感じることができます。たとえひと口も食べないとしても、離乳食を知ることがとっても大切です。そして、生活習慣はとっても大切。規則的に離乳食を用意することで、生活習慣のひとつ食習慣をつけてあげましょう。
成長曲線を確認
母子手帳にのっている成長曲線は、赤ちゃんの成長の目安になります。身長と体重のバランスを確認しましょう。心配な場合は、医師や保健師など専門家に相談を。
長期戦と思って取り組む
食べない子を食べる子にするには長期戦です。わが子を例にあげると、4歳になり幼稚園に行き、お友だちとお弁当を食べ始めてから食に興味を持つようになりました。逆に娘は2歳まではよく食べる子でした。
ママはおだやかに
ママの感情は、ストレートに赤ちゃんに伝わってしまいます。ママが不安に思うと赤ちゃんも不安に感じます。ママがイライラすると赤ちゃんもイライラします。「食べてくれないかもしれない」という不安や心配な気持ちはなるべく横において。食事を楽しむことに重点を置きましょう。ママは笑顔を心がけてくださいね。
食が細い赤ちゃん。心配ですが、ママと赤ちゃんの心の距離をほんの少し開けてみると、今まで見えなかったものが見えることもあります。ママも赤ちゃんも100点目標ではなく、50点目標にするだけで心が楽になりますよ。
著者:離乳食インストラクター協会代表理事 中田馨
保育士で家庭的保育所経営。一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表。関東と関西中心に、離乳食インストラクター養成講座やママ向けに離乳食講義・料理教室を開催中。「かおりの“和の離乳食レシピ”blog」では1500以上の離乳食レシピを掲載中。
配信: ベビーカレンダー(レシピ)