年末年始は「奇跡の9連休」! でも法律で定められた「祝日」は元日だけ…残りはなぜ休みになるの?

年末年始は「奇跡の9連休」! でも法律で定められた「祝日」は元日だけ…残りはなぜ休みになるの?

2024年から2025年にかけての年末年始は、カレンダーの並びから「奇跡の9連休」と呼ばれる大型連休となっています。

今回は12月28日が土曜日となり、1月5日の日曜日までが連休となります。会社勤めの人にとっては、通常の週末と「年末年始特別休暇」が連続している形です。

のんびり帰省したり、遠方に旅行で出かける人も多いのではないでしょうか。

ところが、法律で定められた「祝日」は、実は1月1日のみとなっています。では、残りの年末や三が日の「休日」はなぜお休みになるのでしょうか。

●祝日法はなぜできた?

まず、「祝日」ですが、「国民の祝日に関する法律」(祝日法)により、年間16日が休日と定められています。

その1条には、こう書かれています。

「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを『国民の祝日』と名づける」

「元日」である1月1日は「年のはじめを祝う」ための祝日とされています。この祝日法は戦後間もない1948年に制定されました。日本国憲法が施行された翌年のことでした。

明治時代にも「祝祭日」は設けられていましたが、政府広報オンラインよると、当時の国会では「新憲法の趣旨にそうべき」という観点から、約7カ月も検討がおこなわれ、9日の祝日が制定されたそうです。

なぜ「国民の祝日」なのかといえば、それ以前は皇室の祭典が行われる日を「祭日」、国民の恒例の祝い日を「祝日」としており、日本国憲法下では「祝日の一本建てとし、しかも、それはほかならぬ国民の祝い日であるところから、わざわざ『国民の』という三字をかむらせまして、国民の祝日といたした次第であります」とのことです(政府広報オンラインより)。

その後、少しずつ祝日が増えて、現在のような16日になっています。

さらに、この祝日法で祝日とされた日については、さまざまな法令で休日にするよう定められています。

これらの法令では、国の行政機関であれば「行政機関の休日に関する法律」、地方公共団体であれば「地方自治法」、公立学校であれば「学校教育法施行規則」です。また、死刑を執行しないことも定められています(刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律)。

●民間企業の年末年始に直接的な法令はない

では、1月1日以外の年末年始がお休みになる規定はあるのでしょうか。

「行政機関の休日に関する法律」1条1項3号にはこうあります。

「職員は、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日(以下『祝日法による休日』という。)には、特に勤務することを命ぜられる者を除き、正規の勤務時間においても勤務することを要しない。十二月二十九日から翌年の一月三日までの日(祝日法による休日を除く。以下「年末年始の休日」という。)についても、同様とする」

つまり、12月29日から1月3日までについても、休日とすると定めているのです。地方自治体も同様に、地方自治法で年末年始は休日として条例で定めるように規定しています。

一方、民間企業はどうなっているのでしょうか。銀行とゆうちょ銀行は、銀行法によって、12月31日から1月3日の4日間が休日と定められています。ただし、通常の民間企業は、1月1日をのぞく年末年始を休みと定める直接的な法令はありません。

そこで、行政機関や銀行などと足並みを揃えて年末年始を休みにしてきた経緯があります。また、直接的な法令はなくとも、10人以上の従業員がいる民間企業は労働基準法89条により、就業規則で休日について記載する必要があるとされています。

なお、厚労省では年末年始の休暇に、年次有給休暇をプラスして、連休を取得することを勧めています。そのためにも、年休が取得しやすい職場環境づくりを呼びかけています。今回の年末年始は「奇跡の9連休」と言われていますが、前後に有休を取得すれば、さらに長期休暇になります。

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