【能登半島地震から1年】正月こそ、家族・親戚と確認すべき3つの“防災対策”

正月に家族や親戚と一緒にできる防災対策について、リスク管理の専門家が解説します。

能登半島地震による大規模火災で建物が焼け落ちた観光名所「輪島朝市」付近(2024年1月3日、石川県輪島市、時事通信フォト)

【画像】】「えっ…!」これが家族・親戚と確認すべき3つの“防災対策”です

 2024年1月1日夕方に発生した能登半島地震から今日で1年を迎えます。被災地では今なお多くの方々が仮設住宅での生活を余儀なくされており、復興への道のりは依然として途上にあります。さらに同年11月26日にも能登地方で震度5弱を記録するなど、地震活動は現在も続いており、改めて災害への備えの重要性を考えさせられます。

 年末年始は自宅で家族と過ごす時間が増えるほか、帰省すると自分の両親、親戚と過ごす時間が増える人は多いと思います。そこで、家族や親戚と防災について話し合ってみてはいかがでしょうか。

災害時は想定通りにいかないことが多い

 家族や親戚と話し合う災害への備えというと、「集合場所を決める」「災害用伝言ダイヤルの使い方を確認する」といった具体的な取り決めがよく挙げられます。これらの基本的な備えも確かに大切ですが、実際の災害時には想定通りにはいかないことの方が多いのです。

 本当に必要なのは、いざというときに役立つ防災の心構えについて、家族や親戚とじっくりと話し合うことかもしれません。

 例えば、集合場所を決めていても、その場所自体が危険になっているかもしれませんし、そこに向かう道が通行できない可能性もあります。また、いつ集合するのか、どれくらい待つのかといった時間的な取り決めも現実的には難しいでしょう。

 災害用伝言ダイヤルについても、そもそも若い世代には受話器型の電話の使い方さえなじみがない現状では、混乱の中でこのシステムを使いこなせる保証はありません。

 大切なのは、「命を守る」「大切な人を守る」「生活を維持する」といった本質的な目的を見失わずに、そのための「情報を集める」「状況を判断する」「臨機応変に行動する」「必要な準備をする」という基本的な考え方を共有することです。想定内で考えた手順やルールに縛られて危険な行動を取るよりも、状況に応じて柔軟に判断できる力を養うことが重要なのです。

 そこで、正月休みの時期にすぐに実践可能な3つの防災対策について、順番に紹介します。

身の回りの危険を見直す

 防災について家族や親戚と話し合う際、重要なのが身の回りの危険箇所の確認です。自身の家のほか、帰省先の両親の家、親戚の家の中、周辺環境も含め、1人で考えていると見落としがちな危険も、家族や親戚がそれぞれの視点で見直すことで新たな発見があるものです。

 例えば、自身の家の中の危険な場所や家具の転倒の可能性、通勤・通学路で気になる場所、建物の老朽化が気になるところ、地震や豪雨で通行止めになりそうな道、災害時に人が集中して通れなくなることが予想される地点など、日常的な行動範囲で気付いた危険について、お互いに情報を持ち寄ってみましょう。

 また、それらの危険にどう対処するか、家族や親戚で知恵を出し合うことで、より実践的な対策が見えてくるはずです。その際、季節や時間帯による違いなども想像してみると、より具体的な対策を考えることができます。

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