●子どもの集中力は、合理的な工夫で鍛えることができる!
「大好きなことなら集中できるのに、なかなか興味のないことには集中できないのが子どもですね。そういう場合、親御さんが“集中しなさい! なんで集中できないの!”と叱っても、集中するかと言えば余計に子どもはやる気をなくすだけで逆効果です。こういう場合は、親が“合理的な工夫”をすることで集中力を鍛えることが可能です」(親野先生 以下同)
その合理的な工夫とは?
(1)モチベーション
「具体的な目的意識を持っていれば、勉強にも集中できるのです。それは、例えばテストで100点取りたい! といった直近の目的でもいいですし、“宇宙飛行士になりたい!”歴史博士になりたい”といった、将来の夢でもいいんです。とにかく、目的意識を持たせることが、目の前のことへの集中力を自然に高めることにつながります」
(2)わが子が楽しいと思えること・好きな事をたくさんやらせる
「子どもが熱中できる好きなこと、楽しい事を応援して、さらに深められるようにしてあげることです。ブロック遊びに夢中なら、たくさん買ってあげ、作った作品を褒めてあげましょう。さらに、集中してやっていたら“すごい集中力だったね~”と褒めるのです。そうすると、集中する体験をたくさんするので、集中状態に入るコツが自然にわかってきますし、“自分は集中力がある!”という自信もつくのです」
(3)リラックス・ストレスがない状態
「集中している状態というのは、リラックスしていて不愉快なことや不安などのストレスがないとき。それが大事です。不愉快なことや不安があったりして、ストレスでいっぱいなときは、たとえ楽しいことでも集中できないものです。つまり、親御さんが『また片づけてない!』『なんで勉強しないの!』などと叱ったりすると、その不愉快な状態を引きずったまま勉強に集中することはできないのです。つまり、叱らないことです。ストレスがなくてリラックスした状態にしてあげることで、集中状態に入りやすくなるのです」
(4)体調
「睡眠がとれている、栄養状態がいい、体力がある。そういった状態で体調がいいということが、集中するためにはとても大事です」
(5)環境づくり
「静かで快適な環境づくりをしてあげることも大事です。周りがガチャガチャした状態だとやはり集中状態に入りづらいもの。もうひとつは、部屋の温度と湿度の管理です。不快感のある環境ではやはり集中しづらいのです。特に、温度と湿度の管理は子どもではなかなか調節が難しいのでサポートしてあげてください」
(6)ウォーミングアップ
「子どもの場合、いきなり集中状態に切り替えるのはまだ難しいもの。例えば勉強であれば、メインの宿題に取り掛かる前に簡単なウォーミングアップをさせます。30秒くらいで簡単に解ける計算問題10問などをやらせて採点します。簡単なので当然100点。そこで“すごいね!”と褒めます。これだけで勉強のスイッチが入るのです」
この効果は脳科学的に証明されているそうで、脳には“線条体”というやる気をつかさどるスイッチがあり、リトルサクセスを経験させることでそのやる気スイッチが入るという。
(7)締め切り効果
「締め切りを設定することで、一気に集中力が高まります。これは、大人の仕事も同じですね。時間がたっぷりあると、なかなか集中して取り組めないものです。そこで、例えば、A4サイズくらいのホワイトボードを用意して、“夕飯までに算数プリント1枚”“漢字書き取り1ページ”などと締め切りを書いて見える化します。さらに、画用紙に設定した時間の時計の絵を描いて貼る“模擬時計”も効果的です。さらに、タイマーを使うのもおすすめです。“タイムタイマー”という、設定した残り時間がパッと見てわかる優れものの時計もあるので、いろいろ活用してみてください!」
なかなか勉強に集中しないわが子には、ついつい叱りたくなってしまうものですが、叱っても逆効果なだけのようです。ぜひ“合理的な工夫”でお子さんの集中力を鍛えてあげましょう!
(構成・文/横田裕美子)
『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』