天然素材が持つ力を独自の論理で研究し、新たな解釈をすることで新素材の開発を行うELEMUS(エレムス)は、1月16日(木)~20日(月)の期間、フランス、パリで開催される世界最大級のインテリアとデザイン関連の国際見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展し、ELEMUSが開発する漆と木粉のみを原料とした100%植物由来のバイオマス成形体技術「URCYL(アーシル)」を欧州へ向けて初披露する。
日本古来の天然素材である漆
ELEMUSは、持続可能性と再⽣可能性を中⼼に掲げ、これまでの事業モデルから脱却して、環境負荷を最⼩限に抑えつつ社会に貢献することを⽬指している。
世界各国の素材メーカーがバイオマスプラスチックの開発を行う昨今、日本が古来より活用してきた天然素材「漆」に着目。
漆と独自技術で微粉砕した木粉(主に間伐材や端材などを活用)を用いた100%植物由来のバイオマス成形体技術「URCYL」の開発に成功した。日本やEUで特許を取得している。
ウルシノキを自社栽培する取り組み
漆は日本では縄文時代より活用され、漆器の製造技術は独自に発展を遂げた。
中世では日本から輸出された漆器が「Japan」と呼ばれ、現在でも漆の対訳として「Japanese lacquer」という言葉が残っているほど、漆は日本人の生活に欠かせない素材の一つだった。
かつて日本国内各地でウルシノキが栽培されていたが、戦後、石油化学の発展に伴い減少の一途をたどっており、現在ではおよそ9割が輸入に頼っている状況だという。
ELEMUSは、大学や研究機関と連携し自社でウルシノキの栽培に着手し、これまで不可能とされていたウルシノキの人工発芽に世界で初めて成功。現在、その苗を愛知県の中山間地へ植樹し、栽培をすすめている。
ウルシノキは発芽後15年程度で、樹液を採取できるようになることから、⻑期的に安定した資源供給が可能であり、私たちが生きている時間軸の中で循環させることが可能。
また、ウルシノキは他の樹木に比べて成長が早いことから、CO₂の吸収量(固定化)が多いと考えられており、環境保護の観点からも評価されているという。
現在、ELEMUSでは年間約5,000本のウルシノキの苗を栽培し、行政や地元住民、NPOと協働し、愛知県の中山間地へ植樹を行い、原料の国内生産へ向けて栽培、研究を進めており、今後は、欧州での植樹、栽培を実現させるべく研究を重ねるとともに、漆を効率よく採取する技術の開発を目指していく。
配信: STRAIGHT PRESS