妻と夫の関係に何が!? 産後クライシス対策【摩擦管理スキル編】

妻と夫の関係に何が!? 産後クライシス対策【摩擦管理スキル編】

第14回 注目の「妻のお悩み」をまとめてチェック!
出産を機に、良好だった夫婦仲が急に悪化してしまう「産後クライシス」に陥っていませんか? 今回は摩擦や意見の食い違いが起きた時のコミュニケーションの一つ「摩擦管理スキル(危機管理)」について考えていきましょう。喧嘩スキルの重要性を心理カウンセラー、キャリアコンサルタントの筆者が解説します。

破滅・建設・回避…夫婦の摩擦管理のタイプは?

まずは「摩擦管理(危機管理)」について知りましょう。

「摩擦管理」とは、対人ともつれがあったときのスキルです。このスキルは両親の影響を大きく受けますが、普段からの対人コミュニケーションでも形成されていきます。夫婦の関係づくりの中で、最も重要なスキルともいえます。

議論することで、将来誤解を生む恐れのある考え方や感じ方を早い段階から知ることができ、溝が小さなうちに解決できます。また、抑圧された感情を無意識に破壊的な行動に向かわせないようにして、不平や不満を吹き飛ばすこともできます。

続いて、夫婦における摩擦管理のタイプを解説します。

回避型

意見の不一致に対して、問題解決を避けて逃げてしまうタイプ。だまって不機嫌になったり、さけたり、部屋にひきこもったりすることで、極力向き合わないようにするタイプです。ご自身の両親がもしこのタイプだった場合、子どもは対話して解決する方法を学習できていないため、同じような行動をとる傾向にあります。

また、この傾向にある人は、喧嘩をしてまで解決をしようとはしていない、結婚に気をつかっていないともいえます。避けられた相手は「見捨てられた」という意識や怒り、嫌悪を感じることも多いでしょう。

建設型

建設的な喧嘩をするタイプの人は、自分たちの望むものが得られるわけではないのに必要なものは大体得られます。なぜなら、喧嘩するほどの重要な問題について、おたがいに自分の考えや気持ちを聞いてもらう機会があるからです。同意してもらえなかったとしても、少しは理解され、尊重されたという感覚を持つことができます。

破壊型

破壊的な喧嘩は何回も繰り返されます。相手を否定し断罪するようなコミュニケーションでは、望むものも必要なものも得られなくなる可能性が高いでしょう。そのため、またすぐ喧嘩になってしまうのです。

このとき、男性と女性では議論の仕方が異なります。女性は不一致の部分に注目し、積極的に会話をしたがります。夫は「非難されるかも」と用心深くなり、そもそも会話することに拒否的になりがちです。さらに、この拒否的な行動に苛立った妻が大声を張り上げ、夫はますますうるさがるといった、お決まりの悪いサイクルに陥りがちです。これは長期にわたって結婚生活に影響してしまいます。

喧嘩スキルに重要なコミュニケーション法

うまくいっているカップルは、夫婦の幸せを促進するために、この喧嘩(摩擦)を上手に利用する方法を知っています。

特に2人が愛し合っているという気持ちは重要な役割を果たし、おたがいが議論の限度をわきまえることができます。意見の表明や議論はエスカレートすると解決の場ではなく、相手を断罪することが目的となってしまう可能性があるため、つねに気をつけましょう。

自己弁護する男性、寂しさや恐れ、不安を常に表現する女性は、おたがいに「自己」がぐらぐらしている傷つきのサイン。喧嘩のコントロールがきかなくなってしまうことがあります。こうしたサインがでたときは、攻撃したくなった方は手をゆるめ、相手が撤退する道を開きましょう。

ぎりぎりのラインを超えての喧嘩は、おたがいにみじめさと苦痛しか残りません。こうした喧嘩は不和の溝を深め、2人が抱いていた大事なプラスの感情もむしばみ、夫婦の幸福を侵食してしまいます。不毛な言い争いになったときは、「30分以上タイムアウトする」「クールダウンするために別々の部屋にいく」などルールを決めておくことも助けとなります。

建設的な喧嘩は、ぎりぎりのラインで喧嘩をするので、2人のフラストレーションや腹立ちを存分に話すことができます。ベースには、2人の関係を疎外しているものが何なのかをつきとめて、「なんとか早く終わらせたい」という気持ちがあると建設的な喧嘩になるでしょう。このような2人は、喧嘩があってもおたがいへの信頼感は強まっていきます。

カップルの関係性を見る際には6つの要素があります。これまでうち2つの「コミュニケーション」「摩擦管理」についてふれてきました。次回は「自己」「情緒傾向」「イデオロギー」「期待」についてみていきます。

■この記事は編集部&ライターの経験や知識に基づいた情報です。個人によりその効果は異なります。ご自身の責任においてご利用・ご判断ください。

この記事を執筆・監修した人

石橋 麻衣子(筆名:やまもとこも)
<公認心理師・臨床心理士・キャリアコンサルタント> 10代の子の母。一般企業で20年勤務後キャリアチェンジし、現在は公的機関での教育相談、スクールカウンセラー、精神科クリニックで心理検査やカウンセリングに従事しています。自身の心身の状態が子どもや家族の成長にとても大事だと強く実感しています。自分も他人も大事にするコミュニケーションでよりよい関係や笑顔が生まれますように。
<公認心理師・臨床心理士・キャリアコンサルタント> 10代の子の母。一般企業で20年勤務後キャリアチェンジし、現在は公的機関での教育相談、スクールカウンセラー、精神科クリニックで心理検査やカウンセリングに従事しています。自身の心身の状態が子どもや家族の成長にとても大事だと強く実感しています。自分も他人も大事にするコミュニケーションでよりよい関係や笑顔が生まれますように。