「卵巣捻転」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

「卵巣捻転」になりやすい人の特徴はご存知ですか? 原因・症状を併せて医師が解説

監修医師:
大坂 貴史(医師)

京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。

卵巣捻転の概要

卵巣捻転は小児急性腹症の約2.7%を占める重要な疾患です。小児期の卵巣捻転は全卵巣捻転症例の約15%を占めており、残りの85%は成人での発症となります。小児期は子宮が小さく卵管が相対的に長いという解剖学的特徴があるのに対し、成人では妊娠や骨盤内手術の既往、大きな卵巣腫瘍の存在などが捻転の要因となります。発生率は小児では年間10万人の女児につき4.9人と推定されていますが、成人での正確な発生率は明らかになっていません。いずれの年齢においても、妊孕性や内分泌機能の観点から早期診断・早期治療が重要です。

卵巣捻転の原因

小児の卵巣捻転の約半数は卵巣の腫瘍性病変が原因となっていますが、成人ではその割合がさらに高くなります。小児期では成熟奇形腫や機能性囊胞などの良性腫瘍が大多数を占めるのに対し、成人では卵巣嚢腫や子宮内膜症性囊胞なども原因となります。また、成人では妊娠中の黄体嚢胞による捻転も報告されています。解剖学的要因として、小児期は子宮が小さく卵管が長いことによる卵巣の可動性の増大が挙げられます。一方、成人では骨盤内の手術既往による癒着や妊娠による解剖学的変化が捻転のリスク因子となることがあります。左右差については、年齢によらずS状結腸の位置関係から、右側での捻転が約64.3%と多い傾向にあります。

関連記事: