監修医師:
佐伯 信一朗(医師)
兵庫医科大学卒業。兵庫医科大学病院産婦人科、兵庫医科大学ささやま医療センター、千船病院などで研鑽を積む。兵庫医科大学病院産婦人科外来医長などを経て2024年3月より英ウィメンズクリニックに勤務。医学博士。日本産科婦人科学会専門医、日本医師会健康スポーツ医、母体保護法指定医。
子宮下垂の概要
子宮下垂は、子宮を支える筋肉や組織が弱くなることで、子宮が通常の位置よりも下がってしまう状態です。重症になると、子宮が腟から外に出てきてしまうこともあります。同時に、膀胱や直腸なども下がってくることがあります。この状態では、腟の前側や後ろ側の壁、また子宮摘出後の場合は腟のてっぺんの部分が下がってくることもあります。アメリカの調査では、一般の女性の3-6%に見られる病気ですが、婦人科検診では40-50%の方に何らかの症状が見つかることがあります。この病気は日常生活に大きな影響を与える可能性があるため、早めの発見と適切な治療が大切です。
子宮下垂の原因
主な原因は、子宮やその周りの臓器を支える筋肉(骨盤の底を支える筋肉)が弱くなることです。年齢を重ねることによる自然な筋力低下や、妊娠・出産による負担が大きな要因となります。特に、腟からの出産(自然分娩)では、出産時にこれらの筋肉に大きな負担がかかります。
また、日常生活での習慣も原因となることがあります。
重い物を持ち上げる仕事
慢性的な便秘でいきむことが多い
長引く咳 ・肥満によるお腹への持続的な圧力
さらに、閉経後は女性ホルモン(エストロゲン)が減少することで、骨盤の底を支える組織が弱くなりやすくなります。
配信: Medical DOC