●「判決の言い渡し自体はものの10秒で終わりました」
同じく代理人の髙野傑弁護士は、高裁の判決言い渡しの姿勢に対して苦言を呈した。
「今回の高裁判決の読み上げは主文のみでした。理由については省略すると述べ、判決の言い渡し自体はものの10秒で終わりました。
今ようやくこの問題について社会一般の方々の興味関心が高まっている状況で、裁判所には、裁判所がどう考えているのかということを広く国民の方々に説明する職責が当然あると思います。
(主文の読み上げだけで終わったことに)裁判所がこの問題に対して、さほど興味・関心がないのではないかということを強く感じました」(髙野弁護士)
●黙秘権行使しても取り調べ続行「理不尽を強いている」
江口さんは、上告する決意を述べた上で、自身の受けたような取り調べが「行っても許されるというメッセージを社会や捜査機関に与えることになりかねない」と高裁判決を強く批判した。
「私は捜査段階で、捜査の取り調べの冒頭で黙秘権の行使を宣言しましたが、その後56時間取り調べが続けられました。そのとき思ったんです。自分が行っているのは黙秘権の行使なんだろうか、それともただの我慢、忍耐なんだろうかと。区別がつきませんでした。
そして、黙秘権の保障とは何なのだろうと思うとともに、非常に理不尽に感じました。
今、黙秘権を行使した後も取り調べが延々と続けられるというのが一般的になってしまっている。そのことは、多くの黙秘権を行使する人に対して、(自分が受けたような)理不尽を強いているということだと思います」(江口さん)
配信: 弁護士ドットコム