預けた子どもにケガ!法的な責任は?

第4回 子ども同士のトラブル対処法
子どもを預けていたときに起きた事故やケガ。真和総合法律事務所の松村眞理子弁護士によると、損害賠償を支払うかどうかは事例によるのだとか。このとき、預かった側が注意義務を果たしていたかどうかがポイントになる。

「保育園や学童保育、託児所などは運営者に子どもの安全を守る注意義務があります。人を預かるため、危なくないかを見てあげないといけません。もし保育園内で子どもが事故などにあった際、保育士などの園児に対する安全性の配慮が欠けていたと判断されると、園に損害賠償責任が生じます」(松村先生 以下同)

では、そういった園内での子ども同士のトラブルが起きたらどうなるの?

「プロレスごっこをしていてどちらかがケガをした場合、一方的にいたずらでけがをさせてしまった場合と、ケンカでお互いがやりあったという場合では異なります。一方的にどちらかが殴ったら殴ったほうが悪いですが、ケンカの場合、両方過失があって片方の人だけが悪いことにはなりません。しかし、最後に過激なことをしてしまい、どちらかが相手に大ケガをさせたら、両方の過失の度合いに合わせて、賠償責任の負担割合が変わってくるでしょう」

包帯が巻かれた手

●子を預かったときのケガや、家の物を壊してしまった場合はどうなる?

ところで、友だちの子どもを預かっていた場合に何かトラブルが起きた場合も損害賠償が発生するのだろうか…。

「子どもが階段から転げ落ちてしまったとか、何かで手を切ったなど、預かった親の不注意で起きたことであれば、治療費などの賠償責任が発生します」

また、友だちの家に遊びに行った子どもが相手の家の物を壊してしまった場合は、子どもは未成年で賠償責任がないため、壊した子どもの親が監督義務を問われ、賠償する形になる。ただ、この場合も、遊びに行った家の方が、壊れやすいものを子どもの手の届く場所に置いていたような場合には、その過失との兼ね合いで負担の割合が決まります。

もしトラブルになり法律相談をしたい場合は、弁護士会の法律センターなどで相談してみるのも◎。できればモメることなく済ませたいけど、万が一の場合のために知っておくのも良さそうだ。
(石水典子+ノオト)

お話をお聞きした人

松村眞理子
松村眞理子
真和総合法律事務所
第一東京弁護士会所属、平成25年度副会長。成年後見に関する委員会委員長。家事法制委員会副委員長。離婚・相続・高齢者問題、不動産や債務整理などの民事事件を取り扱う。
第一東京弁護士会所属、平成25年度副会長。成年後見に関する委員会委員長。家事法制委員会副委員長。離婚・相続・高齢者問題、不動産や債務整理などの民事事件を取り扱う。