大腸がんは、日本人のがん死亡原因の上位に位置する病気ですが、生活習慣の見直しによってリスクを大幅に下げることが可能です。特に、食事や運動、禁煙・節酒といった日常生活の中で取り入れやすい習慣が予防につながることがわかっています。そこで医師の鈴木英雄先生監修のもと、大腸がんを予防するために意識したい5つの生活習慣について解説します。
≫ 【イラスト解説】「大腸がん」の予防に効果の高い食べ物・食事
監修医師:
鈴木 英雄(つくば消化器・内視鏡クリニック)
1994年筑波大学医学専門学群(現・医学群医学類)卒業。専門は消化器内科、医学教育。2003年に株式会社メディシス設立に携わる。2006年テキサス大学M.D. Andersonがんセンター客員助手。2021年筑波大学附属病院つくば予防医学研究センター部長、病院教授。2023年7月につくば消化器・内視鏡クリニックを開院し現職。医学博士。日本消化器病学会専門医・指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化管学会胃腸科専門医・指導医、日本消化器がん検診学会認定医・総合認定医、日本ヘリコバクター学会ピロリ菌感染症認定医など。
編集部
大腸がんは予防できる病気なのでしょうか?
鈴木先生
大腸がんは食事などの生活習慣に関わるリスク因子を減らすことや、検診や内視鏡検査を受け、がんになる前の腺腫の段階で切除することで予防することができます。
編集部
日常生活でできる大腸がんの予防行動はありますか?
鈴木先生
大腸がん予防に関係する生活習慣は、以下の通りです。
健康的な食事
低脂肪の食事とし、食物繊維やカルシウムを重点的に取り入れることが推奨されています。ハムやソーセージ、ベーコンなどの加工肉は食べ過ぎに注意しましょう。
適正体重の維持
肥満は大腸がんのリスクを増加させることがあります。適正な体重を維持することが予防に寄与します。
運動
適度な運動は大腸がんの発生リスクを低減させると言われています。歩行などの軽い運動を1日60分おこなう、汗をかく程度の運動を1週間に60分程度おこなうと良いでしょう。65歳以上の高齢者は、強度を問わず、身体活動を毎日40分おこなうことが推奨されています。
禁煙
喫煙は大腸がんを含む様々ながんの発生リスクを増加させるため、禁煙が予防につながります。
節酒
過度なアルコール摂取は大腸がんのリスクを増加させる可能性があるため、適切な範囲でのアルコール摂取が重要です。日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本、焼酎なら1合の2/3、ウィスキーならダブル1杯、ワインならボトル1/3程度までです。
これら、「健康的な食事」「適正体重の維持」「運動」「禁煙」「適度なアルコール摂取」の5つの生活習慣を実践することで、がんになるリスクをほぼ半分にできることが分かっているので、出来ることから取り組みましょう。
編集部
その他、大腸がん予防で知っておくべきことはありますか?
鈴木先生
生活習慣の改善で、大腸がんのリスクを大きく下げることはできますが、ゼロにはできません。しかし、たとえ大腸がんになっても、初期に発見できれば、ほぼ100%治すことができます。早期発見に最も重要なのは「定期的に検査を受けること」です。定期的な検診、内視鏡検査により、ポリープやがんを早期に発見することが大腸がんで命を落とすことを防げます。
※この記事はMedical DOCにて【「大腸がん」の「初期症状」とは? 予防のコツを専門医に聞いてみた】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC
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