監修医師:
大坂 貴史(医師)
京都府立医科大学卒業。京都府立医科大学大学院医学研究科修了。現在は綾部市立病院 内分泌・糖尿病内科部長、京都府立医科大学大学院医学研究科 内分泌・糖尿病・代謝内科学講座 客員講師を務める。医学博士。日本内科学会総合内科専門医、日本糖尿病学会糖尿病専門医。
細菌性結膜炎の概要
細菌性結膜炎は、目の表面にある結膜が細菌に感染することで引き起こされる炎症です。結膜は、白目(強膜)と瞼の裏側を覆う薄い膜で、外部の異物や微生物から目を保護する役割を果たしています。この結膜が細菌に感染すると、赤みや腫れ、目やに(膿)が出るなどの症状が現れ、これを「細菌性結膜炎」と呼びます。
結膜炎には、ウイルス性、アレルギー性、細菌性の3つの主要なタイプがあり、細菌性結膜炎はその中でも最も一般的なタイプの一つです。特に、小児や接触の多い環境にいる人々に多く見られます。早期に適切な治療を行えば、症状は数日から1週間程度で改善しますが、放置しておくと症状が悪化したり、他の人に感染を広げてしまうリスクがあります。
細菌性結膜炎の原因
細菌性結膜炎は、目に細菌が侵入して感染が引き起こされることが原因です。感染を引き起こす主な細菌は、黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、淋菌(性感染症の原因菌)、クラミジアなどが挙げられます。以下に、細菌が結膜に感染する主な要因を紹介します。
1. 手や指の汚れ
目に触れる手や指が細菌で汚れていると、目に直接感染が広がります。特に、外出先やトイレの後など、手をしっかり洗わないまま目をこすることで、細菌が結膜に入り込むことがあります。
2. 目を汚す環境
細菌が多く存在する環境にいると、結膜炎にかかるリスクが高まります。例えば、プールや公共の場でのタオルの共有、または目の手術や外傷が原因で細菌が入り込む場合もあります。
3. 接触感染
細菌性結膜炎は、接触感染によって広がります。患者が使用したタオルや枕、眼鏡などに触れ、その後自分の目を触ることで細菌が目に入ることがあります。また、目薬の共有も感染の原因となるため、注意が必要です。
4. 免疫力の低下
免疫力が低下していると、細菌感染のリスクが高まります。特に、免疫力が低い子供や高齢者、または糖尿病などの基礎疾患を持つ人は、細菌性結膜炎にかかりやすくなります。
5. その他の要因
コンタクトレンズの使用や不衛生な扱いも細菌感染のリスクを高めます。コンタクトレンズを正しく消毒しない、使用期限を守らないなどの不適切なケアが原因で細菌が結膜に侵入することがあります。
配信: Medical DOC