根管治療は、進行したむし歯で必要となる処置ですが、通常のむし歯治療とは異なる点がたくさんあります。根管治療のガス抜きは、一般的なむし歯治療では行わない処置なので、必要性や具体的な手順はイメージしにくいことかと思います。
この記事では根管治療でガス抜きが必要になるケースや治療の手順、ガス抜きをした後の注意点などを詳しく解説します。根管治療でガス抜きが必要と診断された方や今現在、ガス抜きの治療を受けている方は参考にしてみてください。
根管治療のガス抜きとは
根管治療におけるガス抜きとは、歯の神経や血管が収まっている根管内、あるいは歯の根の先にたまったガスを抜く処置のことをいいます。
歯は皮膚や粘膜とは異なり、特殊な構造の器官であるため、ある条件のもとでガスが溜まってしまうため、必要に応じて抜く必要性が出てくるのです。
根管治療中にガス抜きが必要な理由
根管治療中にガス抜きが必要となる理由は、大きく2つに分けられます。
根管内にガスが充満しているから
歯の根の先でガスが充満しているから
根管というのはもともと密閉されているため、そこでガスが発生するとガスの逃げ場がありません。逃げ場がなくなり次第に圧力が高まってしまいます。その結果、歯に負担がかかって痛みなどの症状を引き起こすのです。
もう一方でガスが溜まりやすいのは歯の根の先です。歯の根の先にガスが溜まると、歯だけではなく、歯茎や歯槽骨にまで影響がおよぶため、重症度が高くなるといえます。
根管内や根尖部にガスが溜まるのは、細菌の活動によるものとされています。
ガス抜きをする方法
ガス抜きをするためには、根管を開放させなければなりません。
細菌に汚染された歯髄を抜いて、根管口に穴を開けてガスが通る道を作ります。一般的にはこの状態で経過を見て、ガス抜きが完了したら通常の根管治療へともどります。
根尖部にガスが溜まっているケースでは、根管内への処置を進めたうえで根尖部に穴を開けて、ガス抜きをしなければなりません。
根管治療でガス抜きが必要となるケース
次に、根管治療でガス抜きをしなければなれらないケースを解説します。
膿が蓄積して歯茎が腫れている
重症化したむし歯で膿が蓄積して歯茎の腫脹が認められる場合は、歯の根の先に病巣が発生している可能性が高いです。
根尖病巣と呼ばれるもので、細菌が現在進行形で活動していることから、ガスの産生がされています。このままの状態で放置していても、膿の蓄積やガスの産生は抑えられないため、ガス抜きを含む根管治療を早急に行う必要があります。
溜まった膿やガスの圧力で痛みがある
根管内や根尖部に膿やガスが溜まり、痛みを伴っている場合では、ガス抜きが必要となります。ガス抜きによる効果は一時的なため、ガスを発生させている根本的な原因を取り除かなければなりません。根尖部の膿は、根管内の細菌をきれいにすることで徐々に改善していきます。
根管が貯水槽、根尖口が蛇口で根尖部がバケツと考えたらイメージしやすいでしょう。貯水槽を空にすれば、蛇口を捻っても水が流れることはなく、バケツの中もやがて空になります。
歯が浮いたような感覚がある
歯が浮いたような感覚がある場合もガス抜きが必要になることがあります。
これは浮遊感と呼ばれるもので、歯が浮いたような感覚の原因は、歯根膜炎や根尖性歯周炎の可能性が考えられます。歯の外の炎症によって生じているものです。
根尖性歯周炎でも、歯の根の先で強い炎症反応やガスの滞留などが起こることで、歯が浮いたような感覚があります。この症状が強い場合は、ガス抜きが必要になります。
配信: Medical DOC