奥歯をハイブリッドセラミックにするときの費用
ハイブリッドセラミックは基本的に保険適用外の素材でしたが、保険改定によって保険適用となる範囲が広がっています。
健康保険の適用となるか否かで自己負担額は大きく変わるため、保険適用の条件は歯科医師によく確認してください。
奥歯のハイブリッドセラミックが保険適用になる場合とならない場合の、費用相場を解説します。
保険適用される場合の費用
奥歯の第一小臼歯・第二小臼歯をハイブリッドセラミックにする場合、CAD/CAM装置を使用する認定医であれば、健康保険が適用されます。
奥歯のハイブリッドセラミックの費用は、3割負担で6,500円(税込)程が相場です。
第一大臼歯・第二大臼歯の場合は、金属アレルギーの診断があればハイブリッドセラミックが保険適用となります。
また、金属アレルギーの診断がなくても、第一大臼歯のハイブリッドセラミックが保険適用となる場合もあります。
第二大臼歯がすべて残存しており、第一大臼歯に過度な咬合力がかからない場合に限り、第一大臼歯のハイブリッドセラミックは保険適用です。
これらの条件は保険改定によって変わる可能性もあるため、まずは歯科医師にご相談ください。
2024年の保険改定で適用範囲がさらに拡大されました。
保険適用外の場合の費用
保険適用の条件に当てはまらない場合は、ハイブリッドセラミックは保険適用外となります。
保険適用外となった場合、奥歯のハイブリッドセラミックにかかる費用は40,000〜120,000円(税込)が相場です。
金属アレルギーの診断がない方が第二大臼歯をハイブリッドセラミックにしたい場合や、第二大臼歯が1本でも失われている方が第一大臼歯をハイブリッドセラミックにしたい場合などは、保険適用外となります。
ただし、上記に該当する場合でも2024年1月よりPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)材質のメタルフリー冠が保険適用となりました。
ハイブリッドセラミックの保険適用に必要な設備がなく、認定医が在籍していない歯科医院では、どのような場合でも保険適用にはなりません。
保険適用外の自由診療の場合は、ハイブリッドセラミックにもさまざまな選択肢があるため、奥歯にハイブリッドセラミックを使うメリットは少なくなります。
奥歯には強い咬合力がかかるため、歯科医師からより強度の高い素材をすすめられる場合もあるでしょう。
ハイブリッドセラミック以外で奥歯に使える素材
奥歯のむし歯治療後に使われる素材は、ハイブリッドセラミック以外にも多くの種類があります。
それぞれにメリット・デメリットがあるため、耐久性・審美性・経済性などを考慮して慎重に判断しましょう。
ハイブリッドセラミック以外で奥歯に使える素材は、主に以下の3つです。
ジルコニアセラミック
e-max
銀歯
それぞれの内容を解説します。
ジルコニアセラミック
ジルコニアセラミックは、極めて硬く割れに強い素材です。
歯の部分的な補修ではなく、被せ物や人工歯に使用されるセラミックで、強度を重視する方に選ばれています。
耐久性が高い一方で、色合いの調整が困難であるため、審美性には劣ります。
真っ白な色になってしまうため、ほかの歯と比べて浮いてしまい、目立ちやすくなるでしょう。
奥歯は目立ちにくい部位であり、強い咬合力がかかるため、強度を重視してジルコニアセラミックを選ぶ方は少なくありません。
ジルコニアセラミックは保険適用外の材料であり、ほかの素材に比べても費用が高いのもデメリットです。
奥歯の場合、ジルコニアセラミックの費用は1本あたり120,000〜200,000円(税込)が相場となります。
e-max
e-maxとは、一般的に歯科用セラミックとして使われているポーセレンの強度を高めた素材です。
ポーセレンはレジンよりも強度が高く、透明感があって色合いを調整しやすいため、極めて審美性に優れています。
その一方で、弾力性がないため割れやすいのがメリットで、耐久性の問題がありました。
e-maxはポーセレンの審美性はそのままに、割れにくさを高めた素材で、奥歯にも使用可能です。
ジルコニアセラミック程の耐久性はなくても、一般的な症例であれば問題は起きにくいでしょう。
e-maxは保険適用外の素材で、奥歯の費用は1本あたり80,000〜140,000円(税込)が相場です。
ジルコニアセラミックよりは安く、ハイブリッドセラミックよりは高い素材となります。
銀歯
銀歯は、むし歯治療後の詰め物や被せ物として広く使われている素材です。
保険適用となる素材は12%金銀パラジウム合金で、パラジウム20%・銀50%・金12%・銅16%の比率となっています。
金属には弾性があるため、セラミックに比べて割れにくく、噛み合わせの歯を痛めにくいのがメリットです。
銀歯はどの歯であっても保険適用となるため、自己負担額も大幅に抑えられます。
銀歯は審美性に大きな問題がありますが、奥歯であれば目立ちにくいため、銀歯でも問題は少ないでしょう。
一方で、唾液や食べ物の成分によって金属が少しずつ溶け出し、金属アレルギーの発症や口腔粘膜疾患の原因となる場合もあります。
長期的な悪影響から、銀歯の使用を規制している国もあり、長期間の使用には注意が必要です。
保険適用で費用を抑えられるため、まずは銀歯にして様子を見ながら、後にハイブリッドセラミックやジルコニアセラミックなどに交換する方も少なくありません。
配信: Medical DOC