「くも膜下出血」を発症すると「頭のどこに痛み」を感じる?医師が徹底解説!

「くも膜下出血」を発症すると「頭のどこに痛み」を感じる?医師が徹底解説!

くも膜下出血を発症すると頭のどこに痛みを感じる?Medical DOC監修医がくも膜下出血を発症すると頭が痛くなる原因・初期症状・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

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監修医師:
佐々木 弘光(医師)

医師、医学博士。香川大学医学部卒業。奈良県立医科大学脳神経外科に所属し、臨床と研究業務に従事している。現在、市立東大阪医療センターに勤務。脳神経外科学会専門医、日本脳神経血管内治療学会専門医、脳卒中学会専門医、の資格を有する。

「くも膜下出血」とは?

くも膜下出血とは脳内の「くも膜下腔」と呼ばれる空間に出血が生じ、脳の圧力が高まった結果、強烈な頭痛を中心として、嘔吐や失神・意識障害などの様々な症状を呈する病気です。くも膜下出血は、現代でも致死率・後遺症率ともに高い重篤な疾患です。そしてその原因も様々ですが、多くは脳の血管にできた「こぶ」である「脳動脈瘤」が破裂することで生じます。そしてこの脳動脈瘤は破裂するまで症状を出しにくく、見つかりにくいという点も厄介です。また頻度は下がりますが、脳動脈瘤以外が原因となるくも膜下出血もあり、頭痛の性質や治療法なども異なってくる場合もあります。尚、頭部外傷に伴って生じるくも膜下出血は性質が異なるため、本記事では内因性のくも膜下出血、すなわち頭の中に何らかの原因があって生じるくも膜下出血による頭痛について、詳しく解説していきます。

くも膜下出血を発症すると頭のどこに痛みを感じる?

痛みを感じる場所

・くも膜下出血では、突然の強烈な頭痛を生じます。よく「突然、後ろからバットで誰かに殴られたような」とか、「突然、雷が落ちてきたような(雷鳴様頭痛)」とか、「今までの人生で一度も経験したことのないような」と例えられるような、急激かつとても強い頭痛です。そして吐き気や嘔吐などの症状を伴うことも多く、より重篤な場合は約半数で意識を失うこともあるとされます。また突然起こるため、患者さんは頭痛が起きた瞬間のことを明確に覚えていることが多いです。くも膜下出血による頭痛の場所については、一般的には首の後ろを中心とした後頚部、とされますが、くも膜下出血の原因によっても異なります。さらに、くも膜下出血の原因の多くは脳動脈瘤の破裂ですが、破裂した脳動脈瘤のある位置によっても、頭痛が片側になるのか両側になるのか、微妙に異なる場合があります。例えば前交通動脈瘤と呼ばれる瘤の破裂では両側の頭痛が90%とされますが、中大脳動脈瘤や内頚動脈瘤と呼ばれるものでは約25%が片側性の頭痛を認めるという報告もあります。
・その他の原因として、例えば、もやもや病や脳動静脈奇形といって脳内の血管が異常な発達をして脆くなった結果、破れてくも膜下出血を生じる場合もあります。また椎骨動脈解離といって、首の骨である頸椎の横を通って、首の後ろ側から頭の中に入っていく椎骨動脈という血管がありますが、この血管が解離(突然裂けること)して、くも膜下出血となる場合もあります。前者のもやもや病や脳動静脈奇形が原因の場合、病変が存在する位置によって片側性の頭痛が生じます。後者の椎骨動脈解離でも、主に片側の後頚部、つまり片側の首の後ろを中心とした突然の頭痛が生じるとされます。
・一方、破裂がごくわずかで、出血の量が少なかった場合は頭痛が弱く、目立ちにくい場合もあります。しかし特徴として、突然起きるという点では共通していますので、前述のように患者さんは頭痛が起きた瞬間がわかることも多いです。

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