ギランバレー症候群とは、風邪・胃腸炎などのウイルス感染をきっかけに起こる病気です。進行性の病気なので、重症化すると命に危険が及ぶこともあります。
ギランバレー症候群は、体を動かす神経・感覚を伝える神経が障害される病気で、手足の力の入りにくさ・しびれなどの症状から見つかるケースが多い病気です。
そんな誰にでも起こりうる、ギランバレー症候群の症状・原因について解説します。
【闘病】風邪だと思っていたら「ギラン・バレー症候群」だった 後遺症に今も悩む…
※この記事はMedical DOCにて『「ギランバレー症候群」の症状・原因はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
五藤 良将(医師)
防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。
ギランバレー症候群の症状と原因
ギランバレー症候群はどのような病気ですか?
ギランバレー症候群は、自己免疫性の末梢神経障害です。体を動かす運動神経・感覚を伝える感覚神経に障害が起こり、手足の力の入りにくさ・しびれがみられます。
ギランバレー症候群の原因は、約70%が風邪・胃腸炎などのウイルス感染です。また、自己免疫性の病気であり、ウイルスを攻撃する免疫機能が誤って自分の体を攻撃してしまうこともあります。
ギランバレー症候群は国内での発症率が1.15人(人口10万人あたり)と稀な病気で、成人男性に多いと報告されています。
症状について教えてください。
ギランバレー症候群の主な症状は以下の通りです。
手足のしびれ
筋力低下・脱力感
ギランバレー症候群は、手足のしびれ・左右対称の筋力低下がみられます。いわゆる手足が麻痺している状態です。
子どもの場合は、手足のしびれを痛みとして訴えることもあるので注意してください。
ギランバレー症候群は、これらの手足のしびれ・左右対称の筋力低下から症状が進行する病気です。
「腕が上がりにくい」「階段を登るのがしんどい」「椅子から立ち上がりにくい」など、日に日に生活を送るのが難しくなります。
手足の症状だけでなく脳から伝わる末梢神経が障害されると、顔の筋肉が動かしにくくなったり、物が二重に見えたり、飲み込みにくさを感じるようになります。
ギランバレー症候群の症状は、4~6週かけてピークに達し、その後はゆっくり回復するのが一般的な経過です。
重症化するとどんな合併症が起こりますか?
ギランバレー症候群は重症化すると、呼吸筋が麻痺し、呼吸困難になることもあります。
呼吸困難から人工呼吸器が必要となり、集中治療室で治療を受ける場合もあります。
他にも「体に力が入らず身動きが取れない」「飲み込みにくさから食事が取れない」などの症状が続くと、二次的に栄養障害・脱水を招き、命に関わることがあるので注意が必要です。
原因は何ですか?
ギランバレー症候群の原因は、上気道感染・カンピロバクター感染などのウイルス感染症を契機に発症することがほとんどです。
数日~4週間前に風邪を引いた、もしくは胃腸炎になった方は注意が必要です。特に子どもの場合は、上気道感染を契機に発症することが多いと報告されています。
ギランバレー症候群の原因のうち、約70%が感染症による発症ですが、ワクチン接種・手術などが原因となっている報告もあります。
後遺症はあるのでしょうか?
ほとんどの方が後遺症を残さずに、元の状態まで回復しています。
しかし、人工呼吸器で治療を受けるほど重症化した患者さんを含む約2割の患者さんに後遺症が残っています。
編集部まとめ
ギランバレー症候群は、自己免疫性の末梢神経障害です。風邪・胃腸炎などのウイルス感染をきっかけに、手足のしびれ・筋力低下で発症し、進行性の経過をたどります。
ギランバレー症候群は、誰にでも起こりうる病気で、重症化すると命に関わります。ギランバレー症候群を予防するため、手洗い・うがいなどの感染対策を徹底しましょう。
入院して治療を受ければ、4~6週以降に回復し、元の生活に戻れる病気です。今回の記事を読んで、ギランバレー症候群に当てはまる症状がある方は、お近くの脳神経内科の受診をおすすめします。
参考文献
ギラン・バレー症候群総論|日本神経学会
ギラン・バレー症候群臨床的事項|日本神経学会
ギラン・バレー症候群のエキスパートに聞く|JBスクエア日本血液製剤機構
ギラン・バレー症候群|JBスクエア日本血液製剤機構
配信: Medical DOC
関連記事:
