「免疫性血小板減少症」の原因・症状をご存じですか?【医師監修】

「免疫性血小板減少症」の原因・症状をご存じですか?【医師監修】

免疫性血小板減少症の前兆や初期症状について

ITPは、明確な前兆がないまま突然発症することが多いことが知られています。以下のような出血症状が初期に見られます。

軽度の出血症状

点状出血:皮膚に小さな赤い斑点が現れる。

紫斑:皮膚に青あざのような痕ができる。

鼻血や歯茎からの出血。

重度の出血症状

消化管出血:吐血や血便など。

頭蓋内出血:命に関わる場合があり、特に注意が必要。

その他の特徴

小児:ウイルス感染症後にITPを発症することが多いとされています。

思春期以降の女性:月経過多が問題になることがあります。この場合、鉄欠乏による貧血を合併し、だるさや疲労感などの貧血症状が起こる可能性があります。

上記の症状が該当する場合は、神経内科もしくは内科を受診しましょう。

免疫性血小板減少症の検査・診断

1. 血液検査

血小板数の減少
血小板数が10万/μL未満になるのがITPの特徴です。

他の血液細胞
赤血球や白血球には異常が見られないことがポイントです。

網状血小板の増加
血小板が破壊されることで骨髄での血小板産生が増え、骨髄から新しく作られた「網状血小板」が血液中に出現することがあります。

血漿トロンボポエチン(TPO)の上昇
ITPではTPOの値が上昇するのが特徴です。しかし、上昇しない場合もあるためほかの検査もあわせて診断します。

2. 末梢血塗抹像

異常細胞の確認
血液を顕微鏡で調べ、白血病や骨髄異形成症候群などに認められるような異常細胞がないか確認します。

血小板サイズの変化
ITPでは血小板の寿命が短縮するため、比較的大きな幼若血小板が見られることがあります。

3. 骨髄検査

実施のタイミング
骨髄検査は必ずしも必要ではありませんが、以下の場合に行います:
血液検査で異常な形態の細胞が見られる。
ITPの治療に効果がない。
他の血液疾患が疑われる。

骨髄検査での特徴
骨髄では、血小板を作る細胞である「巨核球」の数が正常または増加しており、形態に異常は見られません。

4. その他の検査

自己抗体検査
他の自己免疫疾患(例:全身性エリテマトーデス)が関与している場合に検査を行います。

ヘリコバクター・ピロリ菌検査
ピロリ菌感染がITPの原因になる場合があり、除菌療法が有効なことがあります。

5. 診断基準

ITPの診断は除外診断といい、ほかの血小板が減少する病気を否定した上で診断します。そのため、以下の条件を満たすことが目安となります。

血小板数が10万/μL以下。

血液検査や塗抹標本で、赤血球や白血球に異常がない。

他の疾患(白血病や感染症など)が否定される。

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