蚊刺過敏症とは、蚊に刺されたことによって通常よりも強いアレルギー反応が出てしまう病気のことです。
蚊に刺されることは日常的に誰にでもあります。しかし、強くアレルギー反応を示すと全身症状が現れ重症化する可能性があるので注意が必要です。
ただの虫刺されと考えるとついつい我慢してしまうかもしれませんが、蚊刺過敏症の場合はその後も繰り返すため油断はできません。
そこで本記事では、蚊刺過敏症についてご紹介します。症状・原因なども詳しく解説するので参考にしてください。
「蚊に刺されてパンパンに腫れる」ことはありませんか?医師が徹底解説!
※この記事はMedical DOCにて『「蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)」を発症すると現れる症状・原因はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
名古屋大学医学部附属病院にて勤務。国立大学医学部を卒業後、市中病院にて内科・救急・在宅診療など含めた診療経験を積む。専門領域は専門は皮膚・美容皮膚、一般内科・形成外科・美容外科にも知見。
蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)とは?
蚊刺過敏症(ぶんしかびんしょう)はどのような病気ですか?
蚊刺過敏症とは、別名蚊アレルギーとも呼ばれる病気です。
非常に稀な病気であり、その名の通り蚊やブユなどに刺されることでアレルギー反応を示します。
通常、蚊のアレルギー反応は誰しも起こります。蚊に刺された際に、蚊から出される唾液腺物質に反応しているのです。この唾液腺物質とは、刺したときに人に痛みを感じさせないための麻酔作用などを持っており、様々な成分が含まれています。
ほとんどの人は、この唾液腺物質にアレルギー反応を示し、その結果としてかゆみや腫れを生じるのです。しかし、ごく稀に蚊に刺されるとひどい腫れ・発熱・リンパの腫れなどの激しい症状を示すケースがあります。これが蚊刺過敏症です。
発症するケースは少ないですが、体温が高くて蚊に狙われやすい幼小児期に比較的多くみられることがわかっています。
症状を教えてください。
蚊刺過敏症の具体的な症状は、蚊に刺された箇所だけでなく全身に現れることがあります。
主な症状としては、次のようなものが代表的です。
刺された箇所のひどい腫れ
発熱
リンパの腫れ
一般的な蚊に刺された場合であれば、刺された箇所の腫れ・かゆみなどが現れる程度です。ひどい場合には、水ぶくれなどができることもありますが、全身症状として現れることはありません。
しかし、この病気の場合は蚊に刺された箇所がひどく腫れたり水ぶくれになったりといった症状がみられます。そして、発熱を伴ったりリンパが腫れたりして、全身症状になるケースもあるのです。
また、刺された箇所は血ぶくれからかさぶたとなり、瘢痕(はんこん)になることもあります。
このように、一般的な蚊に刺された症状とは大きく異なるため、ある程度見た目でも蚊刺過敏症であるかどうかが分かるでしょう。
発症する原因は何でしょうか?
蚊刺過敏症を発症する原因は、明確には判明していませんが、EBウイルスの感染が関与しているといわれています。
EBウイルスとは、エプスタイン・バール・ウイルスのことです。このウイルスは、通常B細胞に感染します。また、がん細胞などを攻撃するリンパ球の一種であるNK細胞に感染すると、異常な増殖が発生するのです。
通常は自然に排除されますが、ごく稀に慢性活動性EBウイルス感染症となることがあります。そして、蚊に刺された刺激により皮膚に浸潤し、先述したような全身症状などを引き起こすと考えられています。
大人も注意が必要でしょうか?
蚊刺過敏症を大人が発症するケースはごく稀です。
日本における成人の9割がEBウイルスを体内に持つといわれており、自然に排除されるためそれほど心配はないといわれています。
この病気は、先述したように幼小児期での発症がほとんどです。しかし、高齢者における発症例も報告されており、大人は決してかからないというわけではないため注意が必要です。
編集部まとめ
蚊刺過敏症は、蚊に刺されることで皮膚の腫れ・水ぶくれ・発熱・リンパの腫れなどの全身症状が出る病気です。
症例は少ないですが、蚊に刺されることを完全に防ぐことは難しいため、決して軽視して良い病気ではありません。
しかし、原因や治療法が確立されていないために非常に対応が難しい病気でもあります。
万が一、蚊に刺されて症状に異変を感じた場合には、可能な限り蚊に刺されないようにしましょう。そして、できるだけ早く医療機関の受診が大切です。
参考文献
慢性活動性EBウイルス感染症とその類縁疾患の診療ガイドライン 2016
慢性活動性EBウイルス感染症
配信: Medical DOC
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