腎結核の治療
腎結核の治療は、結核に効果のある薬剤を複数組み合わせて行う化学療法が基本です。腎機能が低下し腎性高血圧など重い症状が出現している場合は、手術を検討する場合もあります。
化学療法では通常6ヶ月の間、数種類の抗結核薬を組み合わせて内服します。治療は長期にわたりますが、薬剤を確実に服用することで、高い確率で完治が期待できる標準的な治療法です。
出典:厚生労働省検疫所FORTH「結核について(ファクトシート)」
治療中は定期的に検査を行い、薬の効果や副作用の有無を確認します。抗結核薬による副作用として、肝機能障害や皮膚症状、神経炎などが起こることがあるため、適切な管理のもと治療を実施します。
また、腎臓の病変が進行し重度の障害が生じている場合は、腎摘出術や尿管拡張術を行う必要もあります。
なお、治療中は規則正しい生活を心がけ、十分な休養とバランスの良い食事を取ることが大切です。
結核菌の感染力が無くなるまでは、適切な感染対策(マスク着用、手洗い、咳エチケットなど)を徹底し、周囲への感染を防ぐことが重要です。
腎結核になりやすい人・予防の方法
腎結核は結核菌が血液循環に乗って腎臓に到達することで発症するため、腎結核になりやすい人は結核そのものに感染している人です。
なかでも注意が必要なのは、コントロール不良状態にある糖尿病やHIV感染症を患っている人、がん治療中の人など、身体の抵抗力が低下している人です。
また、ステロイド薬や免疫抑制剤などを長期間使用している人や高齢者なども注意する必要があります。
腎結核の予防では、結核に罹患しないことが第一に挙げられます。
結核患者との密接な接触を避けることや、日頃から手洗いやうがいを十分に行うこと、必要に応じてマスクを着用するなどの基本的な感染対策を徹底しましょう。
バランスの良い食事や適度な運動、十分な休息は身体の免疫能力を向上させ、結果として結核の予防につながります。
なお、日本では生後1歳までにBCGワクチンの接種が推奨されており、これは腎結核を含む結核全般の予防に重要な役割を果たしています。
関連する病気
結核
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膀胱結核
尿管結核
参考文献
公益財団法人結核予防会結核研究所「結核についてご理解いただくため、よく聞かれる一般的なご質問にお答えします。」
内閣府政府広報オンライン「日本では毎年約10,000人が新たに発症!古くて新しい感染症、「結核」にご注意を!」
大分県東部保健所「主な結核の症状と診断に必要と思われる検査」
一般社団法人日本結核・非結核性抗酸菌症学会「Ⅳ.全身の結核」
配信: Medical DOC
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