胃腸の弱い人は「胃がん」や「大腸がん」になる確率が高くなるのか 胃がん・大腸がんの発症リスクを医師が解説

胃腸の弱い人は「胃がん」や「大腸がん」になる確率が高くなるのか 胃がん・大腸がんの発症リスクを医師が解説

胃腸の健康を守る方法を知る

編集部

胃腸の状態を知るためには、どのような方法がありますか?

柏木先生

胃の状態を最もよく知ることができる方法は、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)です。内視鏡検査では喉から食道、胃、十二指腸まで評価をおこなうことができますし、数mm単位の病変の評価や炎症などの評価もおこなえることから、炎症やがんの有無に関して非常に精度の高い検査と言えます。腸の状態を知る主な検査は下部消化管内視鏡検査(大腸カメラ)です。腸内環境を調べる検査としては腸内フローラ(腸内細菌叢)検査がありますが、自費での検査となります。自分の腸内環境に応じて必要な食生活に関する情報提供を受けることができるため、興味のある方は取り扱っている医療機関を探していただくことをおすすめします。

編集部

胃腸を強くすることは可能ですか?

柏木先生

「腸活」としては、

バランスの良い食事

整腸剤の活用、発酵食品などの善玉菌を含む食品(プロバイオティクス)の摂取

腸内にいる善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖といった食品(プレバイオティクス)の摂取

運動

腸のマッサージ

ストレスのケア・睡眠不足や疲れの解消

水分補給

などが良いとされています。

編集部

胃の負担を軽減するために日常生活でできることはありますか?

柏木先生

ストレス、食べ過ぎ、脂質の多い食事、刺激物、カフェインなどは胃腸には負担となりますので、胃腸症状がある方は避けるべきです。「機能性ディスペプシア」に関しては満腹まで食べずに少量ずつ複数回にわける、高脂肪食を避ける、喫煙者の場合には禁煙、飲酒・コーヒーの摂取を避けるといったことが対策として挙げられます。

編集部

腸の負担を軽減するために日常生活でできることはありますか?

柏木先生

「過敏性腸症候群」に関しては、症状を誘発しやすい食品(脂質、カフェイン類、香辛料を多く含む食品やミルク、乳製品など)を控えることが挙げられます。過敏性腸症候群の方におすすめの食事として短鎖炭水化物(Fermentable:発酵性、Oligosaccharides:オリゴ糖, Disaccharides:二糖類, Monosaccharides:単糖類, and Polyols:糖アルコール)を多く含む食事を避けることが症状を抑えるとされています。これらの頭文字をとってFODMAPと呼ばれ、低FODMAP食がおすすめです。また、おなかが弱いといった方の中には乳製品で下痢が起こるラクトース(乳糖)不耐症の可能性があります。その場合にはラクトースを避けることで症状が改善されます。

編集部まとめ

「胃腸が弱い」という方の中には、機能性ディスペプシアや過敏性腸症候群といった病気が隠れている場合があります。胃腸が弱いこと自体が胃がんや大腸がんの直接的なリスクになるわけではありませんが、ピロリ菌感染や炎症性腸疾患が関係していることもあるため、定期的な検査が重要です。日頃から食生活やストレス管理を意識することで、症状の改善につながる可能性もあるようです。本稿が読者の皆様にとって、胃腸の健康を見直すきっかけとなりましたら幸いです。

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