胃カメラ検査や大腸カメラ検査は、がんの早期発見・予防のために非常に重要な検査です。では、具体的に何歳から受けるべきなのでしょうか? また、どのくらいの頻度で受けるべきなのか迷う方も多いでしょう。内視鏡検査を受けるタイミングや定期的な検査の必要性について、「熊本みなとクリニック 内科・内視鏡内科」の岩﨑先生に詳しく伺いました。
監修医師:
岩﨑 智仁(熊本みなとクリニック 内科・内視鏡内科)
早稲田大学教育学部卒業、熊本大学医学部卒業。その後、熊本市民病院、済生会熊本病院などの基幹病院で消化器内科医として経験を積む。2023年、熊本県熊本市に「熊本みなとクリニック 内科・内視鏡内科」を開院。日本内科学会総合内科専門医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・上部消化管内視鏡スクリーニング認定医・大腸内視鏡スクリーニング認定医。熊本県難病指定医。
編集部
胃カメラ検査や大腸カメラ検査は、何歳になったら受けた方がいいのですか?
岩﨑先生
一般的には、がんの発症が増え始める40歳になったら、胃カメラ検査や大腸カメラ検査を受けることが推奨されています。がんは50歳から急激に増えるので、遅くとも50歳になったら受けるようにしましょう。
編集部
どれくらいの頻度で受ければいいのですか?
岩﨑先生
胃カメラ検査の場合、「過去にピロリ菌の除菌治療をした」、あるいは「親族に胃がんや食道がんの患者がいる」ケースは、金銭的な負担などがなければ1年に1回、最低でも2年に1回は受けるようにしましょう。そうでない人は、2~3年に1回受けることをおすすめします。
編集部
一方、大腸カメラ検査は何年に1回受ければいいのですか?
岩﨑先生
初回の大腸カメラ検査でポリープなど、何らかの異常が見つからなければ3~5年後に2回目を受けるのがいいと思います。もし、初回の大腸カメラ検査で何らかの異常が見つかった場合は、2~3年に1回受けるようにしましょう。
編集部
異常がなくても、定期的に受けた方がいいのですね。
岩﨑先生
はい。大腸にはヒダがあるので、一度の検査で余すところなく見るのは難しいのです。初回の検査で異常が見つからなかったとしても、もしかしたら隅々まで見えていなかっただけかもしれません。そのため、異常がなくても3~5年後にもう一度受けるようにしましょう。
編集部
もし、そのような異常が見つからなかった場合には?
岩﨑先生
例えば、大腸カメラ検査で「異常なし」という結果が出た場合でも、40歳以上の人には年一度の便潜血検査による検診を継続することが推奨されています。そのため、その結果をもとにかかりつけ医と相談し、大腸カメラ検査のタイミングを決めてもいいでしょう。一方、胃カメラ検査についても異常なしと診断された場合には、これまでの既往や家族歴などをもとにかかりつけ医と相談するといいと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
岩﨑先生
多くの人は胃やお腹などに何らかの症状があるときに、胃カメラ検査や大腸カメラ検査を受けますが、実際、何の異常も見つからないということが多数です。「重大な病気かもしれない」と思って、強い不安を抱えながら検査を受けにくる人も多いのですが、あまり緊張せず、安心して検査を受けてほしいと思います。また、「以前受けたことがあるけれど、苦しかったからもう二度とやらない」と考える人も多いと思いますが、最近では検査方法も洗練されており、あまり苦痛を感じずに済む方法もあります。どんなことでも医師にご相談いただき、ぜひ検査を受けてほしいと思います。
※この記事はメディカルドックにて【「内視鏡検査」を受けるべきタイミングはご存じですか? 推奨年齢や放置のリスクも医師が解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC
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