確定申告が必要な条件
「フルタイムで働いていない人であっても、ネットビジネスなどの副業で所得があれば、一定の基準に従って確定申告を行う必要があります」
そう教えてくれたのは、公認会計士で税理士の伊藤英佑さん。そもそも確定申告とは、その年(1月1日~12月31日)の所得金額に応じて納税額を計算し、申告する手続きのことだ。
「専業主婦のように、会社からの給与のない人がネットビジネスや在宅ワークで所得を得た場合、年間所得が38万円を超えたら、確定申告が必要です。一方、パートなどで給料収入がある場合は、副業の年間所得が20万円を超えた場合に行います」(伊藤さん 以下同)
確定申告期間は、毎年2月16日から3月15日。税務署にある「確定申告書用紙」に記入して提出すればOKだ。とはいえ、家事や子育てに追われ、「税務署に行く時間がない!」ということも…。その場合は、国税庁のサイトにある「確定申告書等作成コーナー」を利用しよう。申告データはインターネット上で送信、もしくはプリントアウトして郵送することができる。
ちなみに、副業だけで継続的に収入が見込める場合は、青色申告による確定申告を行えば、65万円分は控除を受けられるという税制上のメリットがある。ただし、青色申告を行うには、事業開始から1カ月以内に「個人事業主の開廃業届出申請書」と「青色申告承認申請書」(原則承認を受けようとする年の3月15日まで。その年の1月16日以降に開業した場合は2カ月以内)を税務署に提出する義務があるのでご注意を。
とはいえ、数十万円くらいの収入なら、多少申告しなくても問題なそうな気がしてしまうのだけど…?
「いえいえ、ネットオークションなどの取引は税務署がチェックしています。『大した額じゃない』と思って確定申告をせずにいたところ、個人に税務調査が入ったこともありました。広い意味では“脱税”に当たりますから、追徴課税が発生してしまいますよ」
配偶者控除や社会保険はどうなる?
確定申告の方法と必要性がわかったところで、ひとつ疑問が。納税義務が発生するほど稼いでいると、配偶者控除や社会保険は一体どうなるのだろうか。
「夫の税金に配偶者の所得が103万円までは配偶者控除が、103万を超えても141万円までは配偶者特別控除が段階的に受けられます。でも、夫の控除額が減っても、それ以上に副業で稼いでいればトータルで見ると世帯収入はプラスになるので、そこまで気にする必要はないかもしれません」
伊藤さんによれば、むしろ意識すべきは社会保険だという。
「年間所得が130万円を超えると、自分で国民年金や健康保険に加入する必要があります。稼いだ以上に社会保険料を支払うことになる可能性もありますね」
つまり、ママの収入増=世帯の収入増につながらないケースもあるのだ。税金の知識をしっかり身につけて、損しない“プチ副業”を計画しよう!
(南澤悠佳/ノオト)