オスグッド病は成長期の子どもが発症する病気です。脛骨粗面部に過剰な負荷がかかることによって、骨の突出や痛みといった症状が現れます。
初期症状が成長痛に勘違いされやすく、放置してしまう方も多いです。しかし、早期に治療を行うことが病気の早期回復につながります。
本記事ではオスグッド病の症状・原因などを解説します。
成長期の膝の痛み「オスグッド病」を早く治す、予防する方法やストレッチを教えて
※この記事はMedical DOCにて『「オスグッド病」の症状・原因はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
郷 正憲(徳島赤十字病院)
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。
オスグッド病の原因と症状
オスグッド病はどのような病気でしょうか?
オスグッド病は、正式には「オスグッド・シュラッター病」といいます。発症すると、膝の下にある脛骨粗面部の骨が隆起し、痛みが生じることが特徴です。
10〜15歳の成長期の子どもが発症しやすい病気になります。特に、サッカーなどのスポーツを行っている子どもが発症しやすいです。成長期に起こる脚の痛みであることから、成長痛と間違われることもあります。
発症する原因を教えてください。
発症の原因は、成長期に骨が急激に成長することにあります。脚が屈伸運動をする際には、太ももにある大腿四頭筋という筋肉が働きます。骨が成長しても、この大腿四頭筋などの周辺組織の成長は追いついていません。
そのため、運動を行うと大腿四頭筋の力が加わる脛骨粗面には、通常よりも大きな負荷がかかります。その負荷によって脛骨粗面部に炎症や部分的乖離が生じ、病気が発症するのです。このことから、跳躍や走るなど、脚に負担のかかるスポーツをしている子どもが発症しやすくなります。
大人が発症することもあるのでしょうか?
オスグッド病は成長期特有の病気です。そのため、大人になってから発症することはありません。基本的には成長期が終わると治癒します。
どのような症状が見られますか?
特徴的な症状は、脛骨粗面部の骨の突出です。発症すると徐々に隆起してきます。その部分が腫れを起こしたり、熱をもったりすることもあるでしょう。安静時には痛みませんが、脚に負担のかかる運動をした際に強い痛みを感じます。一度痛みが生じるとなかなか引かず、長時間安静にすることが必要です。
さらに、発病中に運動を繰り返し行うと、病気が悪化することにもつながります。そのため、スポーツ活動に多大な影響を及ぼす病気です。
初期症状を教えてください。
発症初期の段階では、脛骨粗面部の骨の隆起は確認できません。運動によって負担がかかっている部分に炎症が起きるのが始まりです。運動時に軽く痛みが生じるようになります。
それを放置して運動を続けると病状が悪化し、炎症の部分が乖離へと進行するでしょう。それによって痛みが強くなったり、骨が突出してきたりします。初期症状では外見上の変化が起こらないため、成長痛と勘違いする人も多いです。
編集部まとめ
オスグッド病は、スポーツを行っている成長期の子どもが発症する病気です。脛骨粗面部の骨の隆起や、運動時の痛みなどの症状が現れます。
基本的には安静にすることで病気の完治が見込めます。スポーツを行っている方は休止し、患部を休めるようにしましょう。
ストレッチも治療に効果的です。スポーツに復帰した後も、運動の前後にはストレッチを欠かさずに行いましょう。
オスグッド病は予後が良好であることと、症状が成長痛に似ていることから放置されやすい病気です。しかし、放置をすると症状悪化のリスクがあります。
オスグッド病の疑いがあれば無理をせず、運動は控えるようにしてください。治療を行えば完治しますので、焦らずじっくりと治療に取り組みましょう。
参考文献
「オスグッド病」(日本整形外科学会)
配信: Medical DOC
