免疫機能が自身の身体に向けて攻撃してしまうようになってしまう疾患を「自己免疫疾患」と呼びます。全身性エリテマトーデスは、そういった自己免疫疾患の1つです。
自己免疫疾患は「バセドウ病」や「関節リウマチ」が有名ですが、全身性エリテマトーデスはそれらの疾患と何が違うのでしょうか?
ここでは、全身性エリテマトーデスの主な症状や原因、なりやすい人についてご紹介します。
「肘をつくと痛い」のは「全身性エリテマトーデス(SLE)」が原因?医師が解説!
※この記事はMedical DOCにて『「全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)」の初期症状はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。
全身性エリテマトーデスの特徴
全身性エリテマトーデスの症状・初期症状を教えてください。
全身性エリテマトーデス(SLE)は、自己免疫疾患の1つです。症状のほとんどは、関節・皮膚・腎臓・神経に集中しています。
以下のような症状が代表的な初期症状です。
両頬と鼻にかけて皮膚が赤くなる発疹(蝶形紅斑)
発熱
関節炎
重症化すると「ループス腎炎」という腎臓障害や、神経系の異常が心的症状を引き起こす神経精神症状がみられることがあります。他にも様々な病変があるため、全身性エリテマトーデスの症状は一括りにできません。
原因は判明していますか?
残念ながら原因はわかっていません。全身性エリテマトーデスの誘因となるものについては、紫外線・ウイルス感染・怪我・外科手術・妊娠などが考えられています。これらの誘因が全身性エリテマトーデスの発症率を高めるというわけではありません。
ただし、この病気を罹患している女性から生まれた子供は、一般的な全身性エリテマトーデスの発症率より高い発症率になるということがわかっています。
遺伝することもあるのですね。
遺伝することもありますが、確実に遺伝するわけではありません。
家族内発症率は3%ほどで、一般人口における発症率よりも高くなっています。必ず遺伝するわけではないことから、遺伝病ではないことはわかっています。
原因となる遺伝子は複数ありますが、遺伝因子を有しているだけでは発症しないということです。
遺伝の他に特に罹りやすい人はいますか?
全身性エリテマトーデスを発症する方で男女比を比べると、1:9と圧倒的に女性が多いです。特に初経~閉経までの女性が多く、逆に初経前の年代の子供を比べると男女比の差が少なくなります。
ただし、女性だから必ず発症するというわけではなく、あくまで成人女性が発症しやすいということには注意が必要です。
編集部まとめ
全身性エリテマトーデスは自己免疫疾患の1つです。原因はわかっていませんが、強い紫外線によって症状が進行する可能性があります。
ただし、副腎皮質ステロイドなどの免疫抑制剤で症状を和らげ、日常生活を送れるほどにまで回復が可能な疾患です。
副腎皮質ステロイドの服用により、免疫機能が弱まり感染症の危険性が高くなります。日頃から感染症対策を行い、ご家族の方にも感染症をうつさないように対策が必要です。
参考文献
全身性エリテマトーデス|日本赤十字社医療センター
全身性エリテマトーデス(SLE)(指定難病49)|難病情報センター
全身性エリテマトーデス:診断と治療の進歩|特集全身性エリテマトーデス
全身性エリテマトーデスの診断と検査 診断のながれ|SLE.jp
全身性エリテマトーデス|国立研究開発法人国立成育医療研究センター
全身性エリテマトーデス|順天堂大学医学部附属順天堂医院膠原病・リウマチ内科
全身性エリテマトーデスの自己管理 日常生活における注意|SLE.jp
配信: Medical DOC
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