「無気力症候群」の原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?【医師監修】

「無気力症候群」の原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?【医師監修】

希望の大学に合格できたが勉強に力が入らない、やる気が出ないといったいわゆる「五月病」です。

仕事に打ち込んできたが、思うようにいかずやる気が出ず、無気力な状態です。

誰にでもよくあることですが、それが長い間続いているなら無気力症候群の可能性があります。

放っておくと良くならないどころか、うつ病に発展する危険性をはらんでいます。

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※この記事はMedical DOCにて『「無気力症候群」の原因・発症しやすい人の特徴はご存知ですか?医師が監修!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)

専門領域分類
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医

無気力症候群の原因

無気力症候群とはどんな病気ですか。

無気力症候群とは、その人の一番の本業に対してだけ無気力になっている状態を指します。社会人であれば仕事が、学生であれば勉強が、専業主婦であれば家事が、という具合にその人にとっての本業にやる気が出ない状態のことを指します。
一方、趣味や遊び、社会活動、学生であればアルバイトなど本業以外のことはこれまでどおり積極的に活動するのが特徴です。うつ病と違いすべてのことに無気力になるわけではありません。無気力症候群はアパシーシンドロームともいわれます。
すべてのことに無気力になるわけではないので、無気力症候群であることに本人が気づかないことが多いのです。そのまま放置しておくと無気力症候群からうつ病になってしまうこともあります。

無気力症候群の原因を教えてください。

人生における大きな目標を達成したとき無気力症候群になりやすいといわれています。
例えば、一生懸命勉強して希望の大学に入れた・就活に全力を注いで第一志望の会社に入社できた・懸命に子育てをして子供たちが自立したなどの場合です。目標を達成して新たな目標を見いだせないとき無気力症候群になる傾向があるようです。
また親の期待に応えようといい大学に入ったり、世間体がいいのでいい会社に入ったなど、自分の希望よりも周りのことを気にして目標を立てたケースもあります。このような場合、次に何をしていいかわからなくなり無気力症候群になるケースが多いようです。

うつ病との違いはなんですか。

無気力症候群の無気力は勉強や仕事など本業に関することだけです。無気力の範囲が限定されています。それに対してうつ病の無気力は生活全般に対する無気力です。「自分はダメな人間だ」という自責の念も伴います。
無気力症候群の症状は本業に関する無気力だけで、その他の症状は現れません。うつ病の無気力は、無気力だけでなく不眠・頭痛といった体の症状、不安・抑圧感などの精神症状を伴います。無気力はうつ病の症状の一つにすぎません。
無気力症候群の場合、趣味などで気晴らしができるので辛さを感じることが少なく、自分が病んでいることの自覚がありません。うつ病は病んでいることの辛さが大変大きく、自殺に至る最悪のケースもあります。うつ病の人は病気の辛さを和らげようと通院や入院して治療を求めます。
無気力症候群の人は無気力以外の症状がなく辛さも少ないし、趣味で気晴らしもできているので、自分から治療を受けようという人は少ないのです。

どんな人がなりやすいですか。

次のような人が無気力症候群になりやすいといわれています。

真面目な人

真面目な人ほど周りの期待に応えようと頑張りすぎる傾向があります。目標を達成したときも、出来なかった時も、自分で新たな目標を決めることができなくなり無気力症候群になりやすいといえます。

一生懸命な人

一生懸命な人ほど頑張りすぎて、目標を達成したときエネルギーが切れて無気力になる傾向があるようです。

完璧主義の人

ものごとが100%うまくいくまで膨大なエネルギーを使います。こんな人もエネルギー切れで無気力症候群になる可能性が大きいでしょう。

勝ち負けにこだわる人

勝っているときはいいのですが、負けた時それを受け入れることができず気力を失ってしまいます。

白か黒かはっきりしないと気が済まない人

こんな人もどっちかはっきりしないとき大きなストレスをため込むことになり、ストレスに耐えきれず無気力になることがあります。

自分一人で物事を決められない人

親の言われるままに勉強をしてきた人は、社会人なっても自立できないことの挫折感から無気力状態に陥ってしまいます。

編集部まとめ

無気力症候群はうつ病に比べて辛さが少ないのですが、長い間放置しておくとうつ病などの精神疾患に発展していきます。

早く気づき、早く対策を始めることが重要です。

やる気が出ない、無気力になってしまっているなどと思ったら、周りの人に相談したり医療機関を受診して早めの対策を講じましょう。

参考文献

無気力症候群(e-ヘルスネット)

休養・こころの健康(厚生労働省)

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