「大腸がん」は果物で予防できる 大腸がん予防にフルーツ摂取が効果的な可能性 研究で示唆

「大腸がん」は果物で予防できる 大腸がん予防にフルーツ摂取が効果的な可能性 研究で示唆

韓国のソウル大学の研究員らによる調査が、学術誌「BMC Cancer」に掲載されました。この研究では、遺伝的に予測される果物の摂取が大腸がんの発症リスク低下と関連することを示しています。この内容について中路医師に伺いました。

≫【イラスト解説】「大腸がん」の原因となる“食べ物”

監修医師:
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

研究グループが発表した内容とは?

ソウル大学の研究員らが発表した内容を教えてください。

中路先生

今回紹介する研究は、韓国のソウル大学の研究員らによるもので、遺伝的に予測される食事摂取と大腸がんリスクの関連を調べるため、メンデルランダム化という手法を用いて分析をおこないました。イギリスバイオバンクのデータを活用し、約9300万の遺伝子変異を解析し、食事に関連する399の遺伝子変異を特定しました。

その結果、遺伝的に予測される果物の摂取量が多い人の大腸がんのリスクは21%低下すると示されました。野菜の摂取についてもリスク低下の傾向がありましたが、その関連は統計的に有意ではありませんでした。一方、赤身肉や加工肉の摂取は大腸がんのリスク増加と関連しており、特に赤身肉と加工肉を多く摂取する人の発症リスクは約30%高まるという可能性が示唆されました。

ただし、本研究にはいくつかの懸念点があります。まず、研究対象が主に白人のイギリス人に限定されているため、ほかの人種や民族に同じ結果が当てはまるかは不明です。また、食事の情報はアンケートによる自己申告データに基づいているため、摂取量の正確性に限界があります。とはいえ、果物の摂取が大腸がん予防に寄与する可能性が示唆されたことは、食生活の重要性を再認識させる結果と言えます。

研究テーマになった疾患とは?

今回の研究テーマに関連する大腸がんについて教えてください。

中路先生

大腸がんは、大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍で、日本では特に女性の罹患率が高いがんの1つです。進行度(ステージ)は、がんの深達度や転移の有無により分類され、治療方針の決定に重要です。早期であれば内視鏡による治療が可能ですが、進行がんでは手術が必要となり、リンパ節転移や遠隔転移がある場合は化学療法が併用されることが一般的です。

高脂質・高タンパク・低食物繊維の食事は大腸がんリスクを高めるため、野菜や果物を積極的に摂取してバランスの取れた食事を心がけましょう。また、飲酒や喫煙を控え、適度な運動を習慣化することでリスクを軽減できます。

大腸がんは、早期の症状が出にくいため、定期的な検診を受けることをおすすめします。特に40歳以上の人は、便潜血検査を毎年受けることが推奨されています。異常が見つかった場合は、大腸内視鏡検査で詳しく調べることが重要です。血便、便の細さの変化、腹痛などの症状があれば、すぐに医療機関を受診しましょう。

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