インプラントが保険適用となる条件とは?
インプラント治療は、一定の条件を満たした場合のみ保険適用で受けられます。インプラントは先進的な医療だからといって、すべてのケースで自費診療となるわけではないのです。具体的には、次に挙げる条件を満たした場合に限り、インプラント治療が保険適用となります。
保険適用になる条件:治療を必要とする理由
インプラント治療が保険適用になる条件は、「先天的な理由」と「後天的な理由」の2つに大きく分けられます。どちらか一方でも当てはまる症状があれば、保険適用の条件をひとつクリアしたことになります。
・先天的な理由
インプラント治療が保険適用になる先天的な理由とは、生まれた時から病気や身体の異常によって顎の骨の3分の1以上が失われている場合です。顎の骨がそれくらい広範囲に失われていると、そしゃくはもちろんのこと、呼吸や発音にまで重大な影響が及んでしまいます。そうしたケースに限っては、インプラント治療を保険内診療で受けることが可能となるのです。
・後天的な理由
インプラント治療が保険適用になる後天的な理由も基本的には先天的な理由と同じです。「顎の骨が3分の1以上、連続して欠損している」場合にさまざまな再建手術が必要となるため、その一環としてインプラント治療にも保険が適用されることもあります。
保険適用になる条件:規定を満たした施設での治療
上段で解説した条件に当てはまる場合は、インプラント治療を保険診療で受けるハードルを半分超えた段階です。先天性の病気や後天的な事故で顎の骨を3分の1以上失ったとしても、国が定める規定を満たした施設でなければ、インプラント治療を保険で受けることはできないからです。具体的には、次に挙げる規定を満たした施設を探す必要があります。
条件1:歯科または歯科口腔外科の病院であること
この条件を満たす医療施設を探すのに苦労することはありません。大きな病院であれば、歯科口腔外科を設置しているのが一般的ですからね。
条件2:歯科または歯科口腔外科に5年以上の経験がある、かつ、3年以上のインプラント治療の経験がある常勤医師が2名以上配置されている
この条件も大学病院や市民病院であれば、基本的に満たしているといえます。ただし、小さな市民病院の場合は、上記の歯科医師が2名以上配置されていないこともありますので、事前にしっかり確認しておきましょう。
条件3:当直体制が整備されている
入院施設のある病院ならこの条件も満たしていることでしょう。当直体制が整備されている歯科口腔外科を探すのはそれほど難しくはありません。
条件4:医療機器や医薬品の安全確保のための体制が整備されている
条件3までを満たしている病院であれば、この点にもしっかり対応しているところがほとんどです。
インプラントが保険適用外の場合は医療費控除を利用しよう
前の章では、インプラント治療に保険が適用される条件についてご説明しましたが、ほとんどの方は適用外となることかと思います。それでもインプラント治療の費用負担を抑える方法はありますのでご安心ください。それは「医療費控除」を利用する方法です。
◎インプラント治療は医療費控除の対象となります
意外に思われるかもしれませんが、インプラント治療は医療費控除の対象となります。医療費控除というと、何となく保険診療内の治療が対象となるようなイメージがありますが、実際はすべてがそうではありません。
インプラント以外でもセラミック治療や歯列矯正でも、医療費控除を受けることは可能です。インプラント治療の場合、1本あたり30万~50万円程度の費用がかかることから、その時点で医療費控除の要件を満たすといえるでしょう。医療費控除は毎年、確定申告と一緒に申請するものなので、2月16日から3月15日までの間に、税務署で手続きをすることをおすすめします。ちなみに、医療費控除は5年前までさかのぼって申請できるため、インプラント治療を受けた翌年に申請し忘れたとしても無効とはなりませんのでご安心ください。
◎インプラント治療で控除される費用
インプラント治療で医療費控除を受けられるのは基本料だけではありません。治療前に受けた精密検査や診断の費用、通院にかかった費用、治療期間中に服用した薬剤の費用なども医療費控除として申請できます。いずれも領収書等を捨てずに保管しておいて、確定申告の際に医療費控除の明細書へ記入しましょう。数年前にルールが少し変わったので、領収書を税務署に提出する必要はなくなりましたが、場合によっては後日、領収書の提出を求められることがあります。インプラント治療でかかった費用の領収書は、少なくとも5年間は、大切に保管しておきましょう。公共交通機関を利用した交通費に関しては領収書は不要で、その都度メモに残しておくと良いですよ。
配信: Medical DOC