コレは怖い!【おたふく風邪】の合併症とは?

第2回 おたふく風邪の予防、症状、対処法
大人になってからおたふく風邪になると、かなり重症化するという噂がある。男性の場合、子どもができなくなってしまう!なんて言われているが、本当なんだろうか? こども元気!内科クリニックの手塚勝也先生に、おたふく風邪の合併症について聞いた。

● 大人がなるおたふく風邪は…?

大人でもおたふく風邪になることはあるんだろうか?

「子どもの頃にやった覚えがない人でも、たいていは気がつかないうちに軽くかかっていて免疫が出来ているんです。それでも確率は低いですが、大人でもおたふく風邪にかかる人はいます。大人になってからかかる人は、確かに重症化しやすいですね。耳の下が腫れて、痛い。熱や吐き気もあったりしますね」(手塚氏 以下同)

おたふく風邪をやった覚えがなくても、無自覚のうちに免疫が出来ている人が多いので、感染しないように予防接種のワクチンを打つことまでしなくていいということだ。ところで、よく聞く大人になってからおたふく風邪になると子どもが出来なくなるは、本当だろうか?

「成人男性の場合、“副睾丸炎“という合併症もあります。陰部が赤く腫れて、苦しいです。そのまま不妊症の原因になる可能性もあります」

おたふく風邪合併症

● 実は合併症が怖い病気

大人の場合かかる確率は低いのだが、いちばん怖いのは子どもがおたふく風邪にかかった場合の合併症だと手塚先生は言う。どんなものがあるのか?

「いちばん恐ろしいのは、難聴でしょうか。耳の奥にまで感染が及ぶと、高度の難聴になります。突発性難聴などは、薬などで聴力が戻ってくることがありますが、この場合は治療法がありません。片方だけの場合が多いですが、聴力は一生戻ってこないことが考えられます」

片耳性が多いが、まれに両方聞こえなくなることもあるという。手塚先生もおたふく風邪から片方の耳が聞こえなくなる子どもを何人か見てきたそうだが、片耳が聞こえればなんとかなるということではなく、これは避けたい。

さらに子どもには、おたふく風邪から気をつけたい病気があるという。

「“無菌性髄膜炎“という病気になる恐れがあります。これはウィルスが脊髄や脳の周りに入ってしまう病気です。おたふく風邪になった後から頭痛や吐き気が出てきたらちょっとおかしいと疑ってみてください。他の特徴として髄膜刺激症状として、首が痛くて曲がらなくなります。背中も痛くなります。入院することも多いです。ただこの場合、おたふく風邪と髄膜炎での入院となると、個室になり料金はかかりますね…」

おたふくになってから、頭痛、嘔吐、首の痛みを訴えてきたら、要注意だ。命に関わることはない病気だというが、万が一、入院することを考えたら、おたふく風邪のワクチンが有料だとしても受けておきたい。しかも2回きっちり受けておくことをお勧めする。
(取材・文/谷亜ヒロコ)

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お話をうかがった人

手塚勝也
手塚勝也
こども元気!内科クリニック
1969生まれ、北里大学医学部卒。北里大学病院、聖マリアンナ医科大学病院などに勤務の後、2001年神奈川県川崎市でこども元気!内科クリニック開院。日本小児科学会会員、小児科専門医取得。地元の園医 校医などを多数兼任。
1969生まれ、北里大学医学部卒。北里大学病院、聖マリアンナ医科大学病院などに勤務の後、2001年神奈川県川崎市でこども元気!内科クリニック開院。日本小児科学会会員、小児科専門医取得。地元の園医 校医などを多数兼任。