インプラント治療で高額療養費制度以外に費用を抑える方法
インプラントの治療費は高額療養費制度の対象にはなりませんが、医療費控除の対象にはなることがわかりました。それでは、インプラント自体の治療費を抑える方法はあるのでしょうか?
自分に合った治療法を選択する
インプラントの治療費を抑えるには、まずは自分に合った治療法を選択することが大切です。インプラント治療には大きく分けて3つの種類があります。
・インプラント
失った自分の歯の代わりにインプラントを埋め込み、上部構造を支える方法で、従来はこの方法がほとんどでした。この場合、埋め込むインプラントの本数が多いため、その分費用負担も重くなりがちです。また、外科手術の範囲が広く、身体への負担も大きいことから、患者さんによっては断念せざるを得ないこともありました。費用も、1本あたり30~50万円程度と高額になりがちです。
・インプラントオーバーデンチャー
インプラントオーバーデンチャーとは、患者さんのお口の状態によって1~4本のインプラントを埋め込み、取り外し可能なタイプの入れ歯を入れて安定させる方法です。インプラントの本数が少なくて済むため、費用にはセラミックなどの上部構造が含まれませんので従来のインプラントに比べて大幅に抑えることができます。また、身体への負担も少なくて済むというメリットもあります。ただし、インプラント以外の部分は入れ歯となるため、取り外しをすることに抵抗のある患者さんには受け入れにくい部分もあります。
・オールオンフォー
オールオンフォーとは、バランスよく、最小で4本のインプラントを埋め込み、最大12本分の連結した上部構造を支える方法です。こちらも1本ずつ埋め込む従来のインプラントに比べて本数が少ないため、費用や身体への負担を抑えることができます。また、骨のある部位を選んでインプラントを埋め込むため、顎の骨が薄かったり、骨の量が少ない場合でもインプラントができる可能性が高くなります。費用は200万~250万円程度です。ただし、オールオンフォー治療は高い技術力が必要な治療であるため、一部の歯科医院でしか行われていません。かかりつけの歯科医院でオールオンフォー治療が行われていない場合は、信頼のおける歯科医師を紹介してもらう必要があります。また、お口や身体の状態によっては、オールオンフォー治療やそのほかのインプラント治療が受けられない場合があります。
クリニック選びにこだわる
インプラントの費用を抑えるには、クリニック選びにこだわることも大切です。すすめられるまま余計な支出をしないためにも、信頼できる歯科医院を選ぶようにしましょう。歯科医院を見極めるポイントは3つあります。
治療前に丁寧なカウンセリングや問診を行っているか
経験豊富な医師が在籍しているか
アフターフォローが充実しているか
治療前のカウンセリングや問診は、インプラント治療においてとても重要です。その上で、治療方針、検査の内容や必要性、現在の状態、インプラントで得られるメリット、インプラント以外の治療の選択肢、治療スケジュールと費用、保証内容について、しっかりとした説明があるかどうかを確認し、納得した上で治療に進むようにしましょう。
インプラントは高度な口腔内の外科手術となります。治療を担当する歯科医の実績や経験を事前に確認し、経験豊富であるかをチェックすることが大切です。定期的に研修や勉強会などに参加をしてスキルアップに努めているかどうかも合わせて確認しましょう。
また、インプラントは手術が終われば完了というものではありません。健康な歯と同じかそれ以上に、インプラントも術後の経過のチェックやしっかりとしたメンテナンスが必要不可欠です。アフターフォローが万全かどうかも、最初のカウンセリングや問診時に確認しておくようにしましょう。
治療計画を見直す
治療計画を見直すことでインプラント治療の費用を抑えられる場合もあります。なるべく費用を抑えたい旨を歯科医に伝え、支障のない範囲で治療費の負担を下げることのできるポイントがないか、よく相談するようにしましょう。
デンタルローンで分割払いに
インプラントの治療費を捻出するのが困難な場合は、歯科医院での高額な治療を受ける際に適用されるローンを活用することもできます。こうしたローンはデンタルローンと呼ばれ、歯科治療の費用を金融機関から借り入れし、分割で返済していくものを指します。クレジットカードの分割に比べて、金利が低めに設定されている点がメリットです。ただし、利子が上乗せされるため、支払い総額で見ると一括で支払う金額よりも高くなってしまいます。デンタルローンを活用する場合は、メリットとデメリットを見比べて、よく検討するようにしましょう。
高額療養費制度が使えなくてもインプラント治療をおすすめする理由
高額療養費制度の適用にならないインプラント治療ですが、それでも多くの人が抜歯後の治療としてインプラントを選択しています。それは、経済面の負担を考慮に入れてもメリットが大きい、と考えられているからです。
インプラント治療のメリット
インプラントのメリットの第一は、なんといっても審美性が高いことです。見た目が美しく、天然歯と比べても遜色ない仕上がりが期待できます。また、強い咀嚼力を発揮できることも魅力です。インプラントは人工歯根が顎に埋め込まれているため、噛む力が強いというメリットがあるのです。さらに、他の健康な歯への負担も少なく、ブリッジのように周りの歯を削る必要がありません。他の治療法と比較して、長期に渡って維持できるところも多くの人が選択する理由の一つです。
インプラント以外の治療方法との比較
抜歯後の治療は、インプラントの他にも入れ歯やブリッジがあります。入れ歯は、保険適用となるため費用を安く抑えることができますが、噛む力が弱くなったり、ずれたりするといったデメリットがあります。金具で留めるため審美性が高いとはいえず、また、取り外して清掃する必要があるため、メンテナンスに手間がかかるという問題点もあります。 ブリッジも材質を選ばなければ保険適用となりますが、周辺の健康な歯を大きく削らなければなりません。物を噛むときには、隣り合った健康な歯に通常の1.5〜2倍の力がかかるため、どうしても負担が大きくなってしまいます。さらに、審美性の高い素材を使うと自由診療となり費用がかかるだけでなく、耐久性もインプラントに比べると短いことが多いため、費用対効果に疑問が残ります。
配信: Medical DOC