運転前に眠くなりやすい薬を服用することは非常に危険です。多くの薬には、運転を避けるべきという明記がされており、特に抗ヒスタミン薬や抗うつ薬に関しては注意が必要です。薬の正しい使い方や運転に関する注意点について、薬剤師の速水さんにお聞きしました。
≫薬剤師が教える「眠くなりにくい花粉症の薬」副作用が出ないのはどんな薬?
編集部
眠くなりやすい薬を運転前に薬を飲むのはダメですよね?
速水さん
薬の説明書(添付文書)によると「運転をしてはいけない」とはっきり書かれている薬があります。具体的には、抗ヒスタミン薬の場合、ポララミンやザジテン、ほかにもアレロック、ザイザル、ジルテックなどが該当します。逆に、車の運転が禁止されていない薬は、アレグラ、クラリチン、ビラノア、デザレックスです。また市販薬のルルアタックEXは「車の運転は薬を飲んでから12時間経過した後、自分の状態を確認してからにすること」と記載しています。抗うつ薬の場合は車の運転を禁止するものもあれば「自動車の運転等危険を伴う機械を操作する際には十分注意させること」と記載されているものが多くあります。一概に良い悪いとは言えない場合も多いので、まずは医師か薬剤師に相談してください。
編集部
薬を1日に何回も分けて飲んだら眠くならないですか?
速水さん
そういうわけではありません。薬は1日の中で飲む量・回数が決まっています。自己判断で決まっている回数よりも、少量で何回にも分けて飲むことはできません。血中濃度が十分に上がりきらず、効果の出方が不十分になってしまいます。必ず医師の指示通りの回数で飲むようにしてください。
編集部
ほかに注意点はありますか?
速水さん
例えば1日1回のいつ飲んでもいい薬であれば、医師と相談の上で就寝前にするのも一つの手です。また、抗うつ薬は人によって細かく用量調整が可能なので、精神症状が安定していれば減薬し、副作用である眠気を和らげることもできるかと思います。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
速水さん
薬によって眠気が起こることは、私たちが生活する上で非常に大きな影響を及ぼします。今回は、飲むと眠くなる薬の具体例やその理由、眠くならない薬の選び方、眠くならないようにする工夫についてお伝えしました。眠気が気になるから症状が辛くても薬を飲まないのではなく、薬について正しく理解して上手に薬と付き合っていただけたらと思います。
監修薬剤師:
速水愛(薬剤師)
新卒で調剤薬局勤務後、派遣薬剤師として製薬メーカーでの電話応対、大学病院での治験に携わる。現在は民間病院に勤務しながら医療ライターとして活動。単に薬という点でなく、総合的に健康を面で支えることができるよう、情報を発信する。
※この記事はメディカルドックにて【薬を服用すると眠くなるのはなんで? どのような薬を服用すると眠くなる? 薬剤師が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC
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