放射線性腸炎の前兆や初期症状について
放射線性腸炎は、急性と慢性のタイプで症状が異なる場合があります。早期に症状を認識し、適切な対応を取ることが重要です。
急性放射線性腸炎の症状
腹痛
腸の炎症や痙攣により腹部の痛みや不快感が生じます。
下痢
頻回の水様性下痢が典型的で、治療中の患者さんがよく訴える症状です。
吐き気・嘔吐
腸の動きが変化し、消化不良が起こることで発生します。
腹部膨満感
ガスの滞留によるお腹の張りが見られることがあります。
慢性放射線性腸炎の症状
慢性的な下痢
数か月以上続く持続的な下痢が特徴です。
便秘と下痢の繰り返し
腸の運動が不規則になるため、便秘と下痢を交互に繰り返すことがあります。
血便や粘液便
腸粘膜が損傷している場合、便に血液や粘液が混じることがあります。
体重減少・栄養不良
腸の吸収能力が低下するため、体重が減少したり、栄養失調の症状が出ることがあります。
症状が現れた際は消化器内科または消化器外科を受診しましょう。
放射線性腸炎の検査・診断
これらの症状が見られた場合、以下のような検査を行います。放射線性腸炎の診断は、前提として放射線が腸管にある程度あたっていること、患者さんの症状、既往歴、および検査結果を総合的に評価して行います。
問診
放射線療法の部位や期間を確認します。症状の詳細や持続期間を尋ねます。
身体診察
腹部の触診で痛みや腫れを確認します。
血液検査
炎症反応(CRP:C反応性タンパク)や貧血の有無を評価します。
便検査
血液や細菌感染を確認する場合があります。
内視鏡検査(大腸内視鏡)
最も確実な方法としては腸管内を直接観察するために、大腸内視鏡と呼ばれる細い管をおしりから入れて内部を観察します。放射線腸炎の場合、異常が認められる部位の組織の一部を採取する生検を行うと、そこが難治性の潰瘍を形成する場合があります。このため、特に前立腺がんなどで放射線治療を受けている方で、大腸内視鏡検査を受ける際は事前に担当医に伝えて頂く必要があります。
画像検査(CTやMRI)
腸管の壁肥厚や線維化の有無を評価したり、ほかの原因がないかを評価するのに用いられます。
配信: Medical DOC