角膜異物の治療
角膜異物の治療は、異物の種類、位置、深さ、及び角膜への損傷の程度によって異なります。迅速かつ適切な治療が視力への影響を最小限に抑えるために重要です。以下に、具体的な治療手順と注意点を詳しく説明します。
異物の除去
角膜異物が表面にある場合は、麻酔薬を点眼後、細隙灯顕微鏡を使用し以下のような方法で除去します。
滅菌水や滅菌綿棒での洗浄
目視可能な範囲の異物は、滅菌した生理食塩水で洗い流したり、湿らせた滅菌綿棒で取り除いたりします。
洗浄で残った異物の除去
眼球を動かさずに固視できる場合は、洗浄で残った異物の除去も可能となります。25~27Gなど皮下注射針の先を用いて取り除かれます。
金属の異物の場合
鋼や鉄の異物が長時間残留すると、角膜に錆を残す場合があります。洗浄と同様に細隙灯顕微鏡を用いて、皮下針などで除去する必要があります。
角膜上皮が剥離している場合
異物が角膜に傷ができてしまった場合には、以下のような治療が行われます。
感染症予防
欠損が治癒するまでの数日間、抗菌薬点眼や軟膏を使用し感染予防を行います。
光対策
剝離が大きい場合に、光がまぶしいと感じることがあるため、サングラスなどで光を遮断すると症状が和らぎます。
痛み対策
直接痛みをとるような点眼薬ではなく、アセトアミノフェン、オキシコドンなどを内服することで痛みの緩和を行います。
治療を受けない場合のリスク
適切な治療を受けずに放置すると、以下のリスクが伴います。
角膜潰瘍
角膜の傷がさらに深くなり、治療が遅れると視力が低下したままになる可能性があります。
角膜瘢痕
深い傷が治癒後に瘢痕として残り、視界を妨げることがあります。
角膜異物になりやすい人・予防の方法
角膜異物は、特定の状況や職業で発生リスクが高まるため、予防対策が特に重要です。ここでは、角膜異物になりやすい人の特徴と、その予防方法について詳しく解説します。
角膜異物になりやすい人
「原因」と重複しますが、リスクが高いのは以下のような方です。
作業環境
金属加工業、建築業、農業、溶接作業など、粉塵や小さな破片が飛び散る作業を行う人は、角膜異物が目に入るリスクが高まります。特に、目を保護するための適切な装備がない場合、このリスクは高まります。
屋外での活動が多い人
強風の日や砂嵐の中での活動は、砂やゴミが目に入る原因になります。自転車やバイクでの移動中にも同様の危険があります。
コンタクトレンズ使用者
不適切な使用や清潔さを保たない場合、コンタクトレンズに異物が付着し、それが角膜に損傷を与えることがあります。
予防の方法
保護眼鏡の使用
作業環境での事故を防ぐために、作業用の保護眼鏡を着用するようにしましょう。これにより、飛散する破片や粉塵から目を守ることができます。
環境に応じた対応
砂嵐や強風の中では、サングラスやゴーグルを着用して目を保護します。また、バイクや自転車の際にはゴーグルやシールド付きのヘルメットを利用するのが効果的です。
コンタクトレンズの適切な管理
コンタクトレンズの装着前後に手を清潔にし、レンズ自体も正しく消毒することが重要です。また、定期的に眼科検診を受けることでトラブルを未然に防ぐことができます。
異物が入った場合の対処法
異物が目に入った場合、無理に取ろうとせず、流水で目を洗い流し、眼科を受診してください。こすらないようにすることが大切です。
角膜異物感染症
角膜瘢痕
乾性角膜症
参考文献
Removal of Corneal Foreign Bodies – EyeWiki
角膜外来 基本情報|北里大学北里研究所病院(東京都港区)
配信: Medical DOC
