eGFR・クレアチニン…腎臓機能評価・腎臓検診でよく見る検査項目を医師が解説!

eGFR・クレアチニン…腎臓機能評価・腎臓検診でよく見る検査項目を医師が解説!

健康診断、とくに血液検査の結果を見ても、どの検査項目が何を示すか、あまりよくわからないという人は多いのではないでしょうか。今回は「腎機能」に焦点を当て、腎臓機能評価・腎臓検診でよく見る項目について「まごめ内科・腎クリニック」の井上先生に解説していただきました。

編集部

血液検査で、腎機能に関連する項目にはどんなものがありますか?

井上先生

「クレアチニン」という項目が代表的です。クレアチニンは筋肉の老廃物で、腎臓から排出されます。しかし、腎機能が悪化するとクレアチニンが排出できずにクレアチニンの値が上昇するのです。 ただし、クレアチニンは筋肉の量に比例して大きくなったり、軽度の腎機能障害ではあまり上昇しなかったりするため、腎機能障害が見逃されてしまうこともあり、注意が必要です。

編集部

ほかには、どのような項目がありますか?

井上先生

「BUN(Blood Urea Nitrogen):尿素窒素」という項目もあります。BUNは腎臓より排出されるタンパク質の老廃物なので、腎機能が悪化すると上昇します。ただ、タンパク質の摂取状況などに影響されるため、クレアチニンと比較すると少し不正確な部分もあります。もう少し正確な腎機能を知るためには、「GFR(Glomerular Filtration Rate):糸球体ろ過量」の値をみます。

編集部

GFRについて、もう少し詳しく教えてください。

井上先生

GFRは腎臓のろ過能力の指標です。腎臓で1分あたり何mlの原尿が作られているかを表します。実測するためには「イヌリンクリアランス」という検査が必要ですが、血清クレアチニンの値と性別・年齢から推算することができます。推算された値は「eGFR(推算糸球体ろ過量)」と呼ばれ、90ml/分/1.73㎡前後が正常値ですが、腎機能が悪くなるにつれて、数値は低くなっていきます。

以下に、それぞれの検査項目とその正常値を示します。

尿タンパク
陰性(0.15g/gCre未満)

尿潜血
(‐)

BUN(尿素窒素)
8mg/dl~20mg/dl 

血清クレアチニン濃度
男性1.2mg/dl以下、女性1.0mg/dl以下

eGFR
60~100ml/分/1.73㎡

編集部

ほかにもありますか?

井上先生

腎臓を専門としているクリニックでは「シスタチンC」も調べます。シスタチンCは、全身の細胞で生み出される小さなタンパク質で、クレアチニンと同様に腎臓の働きが悪くなると値が上昇します。クレアチニンと異なり、筋肉量の影響を受けないため、シスタチンCが用いられることも多いですね。

監修医師:
井上 禎子(まごめ内科・腎クリニック)

東京女子医科大学医学部卒業。東京女子医科大学病院腎臓病総合医療センター入局、茅ヶ崎徳洲会病院、東京労災病院などで経験を積む。2016年、東京都大田区に「まごめ内科・腎クリニック」を開院。日本内科学会認定医・専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医・指導医、日本糖尿病学会会員。日本医師会認定産業医。

※この記事はMedical DOCにて<腎臓機能評価を専門医が解説 eGFRを調べる尿検査・血液検査で腎臓病を早期発見する重要性>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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