眼筋麻痺の治療
原因疾患の治療と眼症状に対する対症療法が行われます。
(1)原因疾患に対する治療
1. 脳血管障害
脳動脈瘤の場合、脳血管内治療(コイル塞栓術)が行われます。脳梗塞の場合、抗血栓療法や脳循環改善薬の投与が検討されます。
2. 自己免疫疾患
MGの場合、ステロイドや免疫抑制薬による薬物療法、胸腺摘除術などが検討されます。甲状腺眼症の場合、甲状腺機能のコントロールとステロイド療法が行われます。
3. 代謝性疾患
糖尿病性眼筋麻痺の場合、血糖コントロールが重要です。
4. 炎症性疾患
ステロイドの全身投与が行われることがあります。
5. 循環障害
ビタミンB12や脳循環代謝改善薬の内服、ステロイドの内服・点滴が行われます。
(2)眼症状に対する対症療法
1. 保存的治療
眼帯やコンタクトレンズによる片眼遮蔽
プリズムメガネの使用:複視の軽減を図ります。
2. 手術療法
保存的治療で改善が見られない場合、数ヶ月の経過観察後に外眼筋手術を検討します。両眼の向き(眼位)を整えることで複視の軽減を図ります。
治療の選択は、原因疾患の特定と症状の程度に基づいて個別に決定されます。多くの場合、原因疾患の治療により眼筋麻痺は改善しますが、完全な回復には時間を要することがあります。
眼筋麻痺になりやすい人・予防の方法
眼筋麻痺になりやすい人は、糖尿病患者さん(神経を栄養する血管の循環障害により、眼筋麻痺のリスクが高まる)や高血圧患者さん(血管障害のリスクが高く、脳梗塞などの原因となり得る)、自己免疫疾患患者さん(重症筋無力症や甲状腺眼症などの患者は眼筋麻痺を発症しやすい)、高齢者(加齢に伴う血管障害や神経疾患のリスクが高まりる)です。
予防方法としては、生活習慣病の管理(糖尿病や高血圧の適切なコントロールが重要です)や定期的な健康診断(早期発見・早期治療につながります)、バランスの取れた食事(神経や筋肉の健康維持に必要なビタミンB1やB12などの栄養素を摂取します)、 適度な運動(全身の血流改善と神経系の健康維持に効果)、ストレス管理(自己免疫疾患のリスク軽減に寄与します)などがありますが、完全な予防は困難であり、症状が現れた場合は速やかに専門医の診察を受けることが重要です。
関連する病気
外眼筋麻痺
神経筋接合部の異常
脳神経の疾患
内分泌疾患
感染症
参考文献
重症筋無力症(指定難病11)
伊藤規絵著:ねころんで読める歩行障害メディカ出版,大阪,2023
https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-19592023/19592023seika.pdf
外眼筋麻痺を合併した帯状疱疹後神経痛患者に対して眼瞼挙上 訓練と眼球運動訓練を用いた治療
眼筋麻痺 – 徳島県医師会Webサイト
重症筋無力症の臨床症状と合併症
配信: Medical DOC
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