普段から薬を服用している方が、お酒を飲んだ後に服用しても大丈夫なのでしょうか? アルコールと薬の相互作用は、効果の低下や予期せぬ副作用を引き起こす可能性があり、お酒を飲んだ後の正しい薬の服用方法を知ることが必要です。今回は薬剤師の山形さんにお酒を飲んだ後にすぐ薬を服用するとどうなるかについて詳しく解説いただきました。
監修薬剤師:
山形 ゆかり(薬剤師)
近畿大学薬学部薬学科卒業。卒業後、総合病院で糖尿病病棟の薬剤師として勤務。病院での経験を通じて「食の重要性」を深く感じ、食に関する資格を取得。現在は、「健康は食から」というモットーのもと、薬膳など食の知識を活かした薬剤師としての啓蒙活動中。薬膳アドバイザー・フードコーディネーター・フードアナリスト
編集部
お酒を飲んだ直後に薬を飲むとどうなりますか?
山形さん
飲酒直後に薬を飲むと、相互作用で薬の効果が変化し、副作用が出ることもあります。とくに肝臓で代謝される薬の場合は、副作用が増えるリスクがあるので注意が必要です。
編集部
とくに注意すべき薬の種類はありますか?
山形さん
解熱鎮痛薬、睡眠導入薬、糖尿病薬、血液の凝固を防ぐ薬、利尿薬、抗うつ薬などがあります。アルコールとこれらの薬を一緒に摂取すると、薬の作用が増強され、重大な副作用が生じる可能性があります。
編集部
具体的にはどんな副作用の危険性がありますか?
山形さん
例えば、解熱鎮痛剤のアスピリンとアルコールを一緒に摂取すると胃にダメージを与え、アセトアミノフェンを含む解熱鎮痛薬との併用は肝機能障害を引き起こすリスクがあります。睡眠導入薬や抗うつ薬との組み合わせは、薬の効果が強すぎることによる精神的な影響や身体的な不調を引き起こすことがあるでしょう。ワーファリンなどの抗凝固剤との併用は出血リスクを高めます。とくに脳など重要な部位での出血は命に関わる危険性を持ちます。利尿薬とアルコールを一緒に摂取すると、血圧の急激な低下やめまいを引き起こす可能性もあります。
編集部
ほかにはどのような副作用やリスクがありますか?
山形さん
糖尿病薬のメトホルミンを服用している場合には、過度のアルコール摂取は乳酸アシドーシスのリスクを高めます。アルコールは体内での乳酸の代謝を減少させるため、乳酸の蓄積が中枢神経や消化器系に悪影響を及ぼす可能性があります。乳酸アシドーシスは、胃腸症状(悪心、嘔吐、腹痛、下痢など)、倦怠感、筋肉痛などの初期症状から始まり、過呼吸、脱水、低血圧、低体温、昏睡などの症状へと進行していきます
編集部
では、もしお酒を飲んだ直後に薬を服用してしまった場合、どうすればよいですか?
山形さん
薬の種類によっては、すぐに対応が必要な場合もあるかもしれません。「すぐに病院に行った方がよいか」や「救急車を呼ぶべきか」など、悩んだり不安に思われたりした場合には、救急安心センター事業(7119)に電話するのも一つの手段です。
※この記事はMedical DOCにて<「お酒を飲んだ日の薬の服用」はどうすればいい? 何時間空けるべき? 【薬剤師監修】>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
配信: Medical DOC
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