「皮膚爬行症」を発症した人に現れる特徴をご存じですか?【医師監修】

「皮膚爬行症」を発症した人に現れる特徴をご存じですか?【医師監修】

監修医師:
五藤 良将(医師)

防衛医科大学校医学部卒業。その後、自衛隊中央病院、防衛医科大学校病院、千葉中央メディカルセンターなどに勤務。2019年より「竹内内科小児科医院」の院長。専門領域は呼吸器外科、呼吸器内科。日本美容内科学会評議員、日本抗加齢医学会専門医、日本内科学会認定医、日本旅行医学会認定医。

皮膚爬行症の概要

皮膚爬行症(ひふはこうしょう)は、魚介類を生で食べることで発症する感染症です。魚介類に潜んでいる寄生虫が体内に侵入して感染します。寄生虫が体内に侵入した後に移動することで皮膚にかゆみや水疱などの多くの症状が引き起こされます。

皮膚爬行症の原因となる寄生虫はどじょうやライギョに寄生している顎口虫、ホタルイカやスケトウダラなどに寄生している放尾線虫などです。これらが体内に侵入することで発症する皮膚爬行症をそれぞれ顎口虫症、放尾線虫症と呼びます。

顎口虫症と放尾線虫症はそれぞれ症状が異なり、顎口虫症は赤みやかゆみを伴う皮疹、放尾線虫症は水疱が特徴です。また、顎口虫症では好酸球が増加するなどのアレルギー反応がみられますが、放尾線虫症には好酸球の増加はほぼありません。

皮膚爬行症の診断において重要なことは、原因となる魚介類を加熱せず食べていたかどうかの確認です。上述したような魚介類を食べていたことがわかり、皮膚症状があれば、本症例を疑って皮膚生検や組織額的検査をおこないます。

皮膚爬行症と診断された場合、寄生虫を外科的に取り除く治療をおこないます。外科的な除去が難しい場合は、駆虫剤の内服や軟膏で虫の除去を試みます。

皮膚爬行症の予防方法は魚介類を生で食べないことです。魚介類の寄生虫は加熱処理や冷凍保存などで駆除できるため、魚介類を食べる前にはこれらの処置をおこないましょう。

皮膚爬行症の原因

皮膚爬行症の原因は主に魚介類の生食です。どじょうやライギョ、ホタルイカ、スケトウダラなどを生食した後に寄生虫が体内に侵入して感染します。また、皮膚爬行症はこれらの魚介類に存在する寄生虫の種類によって、顎口虫症や放尾線虫症などに分類されます。

以前はどじょうやライギョなどの摂取による顎口虫症が皮膚爬行症の多くを占めていました。しかし、近年ではホタルイカやスケトウダラなどの摂取による放尾線虫症が多く報告されています。

顎口虫症は、顎口虫が体内に侵入した後、3〜4週間の潜伏期間を経て発症します。放尾線虫症は放尾線虫が体内に侵入した後、2週間程度で発症する傾向があります。

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