「福山型先天性筋ジストロフィー」を発症した人に現れる特徴をご存じですか?【医師監修】

「福山型先天性筋ジストロフィー」を発症した人に現れる特徴をご存じですか?【医師監修】

監修医師:
本多 洋介(Myクリニック本多内科医院)

群馬大学医学部卒業。その後、伊勢崎市民病院、群馬県立心臓血管センター、済生会横浜市東部病院で循環器内科医として経験を積む。現在は「Myクリニック本多内科医院」院長。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会専門医。

福山型先天性筋ジストロフィーの概要

福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は、遺伝性の筋疾患である先天性筋ジストロフィーの一種であり、筋力の低下と脳の発達異常を特徴とする疾患です。
筋肉や脳の発達に重要な役割を果たす遺伝子が変異し、筋細胞の機能低下、筋肉の破壊、知的障害を引き起こします。

世界的にはまれな病気とされていますが、日本では他国と比べて患者数が多いことが知られています。

現在のところ、福山型先天性筋ジストロフィーを根本的に治す治療法は存在しません。
しかし、リハビリテーションによる運動機能の維持や、人工呼吸器を用いた呼吸管理、栄養管理によって症状の進行を遅らせることが可能です。

福山型先天性筋ジストロフィーの原因

福山型先天性筋ジストロフィーの主な原因は、「フクチン遺伝子(FKTN)」の変異です。
フクチン遺伝子は、筋肉や脳の正常な発達に重要な役割を担っており、筋肉細胞の膜の構造を安定させる働きを持っています。

しかし、フクチン遺伝子に変異があると、筋細胞が壊れやすくなり、筋肉の機能が低下します。
脳の発達にも影響を与え、「滑脳症(かつのうしょう)」と呼ばれる脳の表面が滑らかになる異常が見られます。
筋力の低下だけでなく、知的発達の遅れやてんかんを併発する原因の一つです。

フクチン遺伝子の変異は、日本人に特有のものであり、両親から変異した遺伝子を受け継いだ場合に発症します。

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