Medical DOC監修医が低下の原因や骨粗しょう症などの病気などを解説します。
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※この記事はMedical DOCにて『「骨密度を上げる」可能性の高い食べ物はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。
監修医師:
伊藤 陽子(医師)
浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。
骨密度とは?
骨密度とは、骨の強さを表す指標です。
骨を形成するカルシウム、リンなどのミネラル成分が骨にどれくらい詰まっているかを表しており、骨粗しょう症の診断基準に使われます。
骨は常に形成と破壊を繰り返して代謝を続けていますが、形成より破壊のペースが上回ることで、骨は次第に弱くなっていきます。
骨密度の数値の基準は、若年成人の骨密度の平均値です。
若年成人の具体的な年代は部位によって異なり、大腿骨で20歳~29歳、腰椎で20歳~44歳です。
この年代の平均値を100%として、80%以上であれば正常、70%~80%だと骨量減少、70%以下で骨粗しょう症と判定されます。
骨密度は男女ともに加齢に伴って減少することが確認されており、高齢者になるほど骨折しやすくなるのはこのためです。
骨密度は男性より女性の方で減少率が高い傾向にあります。
特に、女性の場合は20歳頃が骨密度のピークであり、以降は徐々に骨密度が減少していき、閉経を迎える50歳頃から減少が加速します。
骨密度が低下する原因
女性ホルモンの低下
男性より女性の骨密度の減少が大きい理由に、加齢や閉経による女性ホルモンの低下があります。
女性ホルモンのエストロゲンは、骨の代謝に関わる破骨細胞(古い骨を吸収する役割)と骨芽細胞(新しい骨を作る役割)の両方に作用しています。
閉経前後の50歳頃になるとエストロゲンの分泌が急激に低下し、それまでエストロゲンにより抑えられていた破骨細胞の働きが活発になります。
そのため、破骨細胞による骨吸収が進み、骨量や骨密度が減少すると考えられています。
ホルモンバランスの乱れは内分泌代謝の異常ですので、内科、特に内分泌代謝内科や婦人科を受診してください。
日常的な喫煙や過度の飲酒
喫煙や飲酒の習慣がある方は、そうでない方に比べて骨粗しょう症のリスクが高まります。
まず喫煙ですが、たばこは胃腸の働きを低下させることからカルシウムやビタミンDの吸収を妨げ、また、前項で取り上げたエストロゲンの働きを阻害することが知られています。
ニコチンは血管を収縮させる作用もあるため、血流の低下により骨折してしまった後の回復も遅くなります。
飲酒に関しては、適量であればカルシウムの吸収には影響ありません。
ですが、過度の飲酒が日常的に続くと、肝機能の低下を招きます。
するとビタミンDの活性化が妨げられ、カルシウムの吸収が低下し、骨粗しょう症のリスクが高まります。
また、アルコールの取り過ぎで食事がおろそかになると、低栄養の状態を招き、こちらも骨にとっては好ましくありません。
骨粗しょう症のみならず、病気のリスクを減らすためにも禁煙と適度な飲酒を心がけましょう。
運動不足
運動も骨密度の維持に重要な役割を持っています。
骨に一定の刺激が加わらない状態が続くと、骨形成の際にカルシウムの利用効率が悪くなり、骨が強くなりません。
カルシウムだけを摂取しても、運動による刺激がなければ骨にカルシウムが蓄積されず、骨量が減少します。
この後の項目でも詳しく紹介しますが、骨密度を上げるにはウォーキングなど骨に重力のかかる運動が効果的です。
配信: Medical DOC