昆虫アレルギーの治療
昆虫アレルギーの治療は、症状の程度によって異なります。
軽症の場合
軽症の場合には、抗ヒスタミン薬やステロイド外用薬などの薬を用いて症状を抑えます。
抗ヒスタミン薬は、かゆみや腫れなどのアレルギー症状を和らげる効果があります。ステロイド外用薬は、炎症を抑える効果があります。
重症の場合
アナフィラキシー反応が生じている重症の場合には、アドレナリン注射や酸素吸入などの緊急処置が必要になることがあります。
アナフィラキシーショックは、全身性の重篤なアレルギー反応であり、血圧が下がったり、息が苦しくなったり、意識を失ったりなどを引き起こす可能性があります。アドレナリン注射は、血管を収縮させて、血圧を保ちます。酸素吸入は、息苦しさを改善する効果があります。
アドレナリン自己注射
アドレナリン自己注射薬(エピペン)の投与をするケースもあります。
エピペンは、アナフィラキシーショックが起こった際に、患者自身がアドレナリンを注射するための医薬品です。アナフィラキシーショックが起こったとき、治療を受けるまで時間がかかり、症状が悪化するリスクがあるためです。
アドレナリンは、血管を収縮させ、気道を広げることで、アナフィラキシーショックの症状を和らげる効果があります。
ハチが多い地域で生活している人や、過去にハチに刺されアナフィラキシーショックを起こしたことがある人などは、医師の判断でエピペンの携帯を勧められることがあります。
減感作療法
昆虫アレルギーのうち、ショックを引き起こす恐れのあるハチアレルギーに対しては、減感作療法(アレルゲン免疫療法)が選択される場合もあります。
アレルギーを引き起こす原因となる物質を少量ずつ投与することで、身体を慣れさせ、アレルギー反応を軽減させる治療法です。
減感作療法は、専門医の指導のもとで慎重におこなわれます。治療期間は数年単位となるため、根気強く続ける必要があります。
昆虫アレルギーになりやすい人・予防の方法
昆虫アレルギーになりやすい人としては、過去に昆虫に刺されたことがある人、アレルギー体質の人、家族にアレルギーを持つ人がいる人などが挙げられます。
これらの特徴がある人は、昆虫アレルギーを発症するリスクが高いため、特に注意が必要です。
昆虫アレルギーを予防するためには、昆虫が多い場所に行く際は、長袖・長ズボンを着用したり、虫よけスプレーを使用したりなど、昆虫を寄せつけないようにすることが大切です。
昆虫アレルギーは、命に関わることもあるため、昆虫に刺されたり、吸い込んだりして体調に異変を感じたら、すぐに医療機関を受診して適切な治療を受けることが重要です。
日頃から予防策を心がけ、万が一の際には適切な対応を取れるように、正しい知識を身につけておくことが大切です。
関連する病気
アレルギー性接触皮膚炎
2型炎症
参考文献
重篤副作用疾患別対応マニュアル|厚生労働省
平田博国ら.昆虫アレルギー.小児内科vol. 53増刊号2021
患者さんに接する施設の方々のためのアレルギー疾患の手引き《2022年改訂版》|厚生労働省
配信: Medical DOC
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