巨大結腸症の治療
病態に応じた治療が重要であり、保存的治療としては食事療法や薬物療法が行われますが、症状が重篤な場合や保存的治療に反応しない場合には外科的治療が必要となることがあります。腸管穿孔が認められた場合には緊急手術が必要です。
急性巨大結腸症では、食事や飲み物を控え、状況によっては経鼻胃管を挿入し、腸管内容を体外に出して腸管の内圧を減少させます。非中毒性の場合は必要に応じて内視鏡を用いて結腸を減圧することもあります。中毒性巨大結腸症の場合は急速に進行して劇症型をきたすこともあるので、迅速な治療が必要です。潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の場合にはステロイド、感染症に対しては広範囲抗生物質を投与します。
慢性巨大結腸症では、食事療法や薬剤療法で腸の運動機能を改善します。便秘を防ぐために下剤(ラクツロース、ポリエチレングリコールなどの浸透圧性下剤)や整腸剤、浣腸を使用しますが、治療に難渋することがあります。また、ひとたび拡張した腸管を正常化させることは困難と言われています。
治療に反応しない場合、結腸全体または一部を外科的に切除する必要があります。手術の選択肢としては、回腸直腸吻合術や回腸ストーマ造設術があります。拡張腸管のみの切除では、高率に遺残結腸の拡張をきたすとされています。
巨大結腸症になりやすい人・予防の方法
急性および中毒性巨大結腸症では、原因である感染性腸炎や潰瘍性大腸炎がベースにありますので、これらの治療をしっかり行うことが重要です。慢性巨大結腸症の場合、原因となっている慢性便秘や神経疾患(例:パーキンソン病や糖尿病性神経障害)、全身性疾患(例:筋ジストロフィーや強皮症、全身性エリテマトーデス)などのコントロールが重要になります。特発性慢性巨大結腸症の予防は難しいのですが、日常から便秘に注意し、排便コントロールを心がけることが必要です。
関連する病気
先天性巨大結腸症
炎症性腸疾患
参考文献
Cuda T, Gunnarsson R, de Costa A. Symptoms and diagnostic criteria of acquired Megacolon – a systematic literature review. BMC Gastroenterol. 2018 Jan 31;18(1):25. doi: 10.1186/s12876-018-0753-7. PMID: 29385992; PMCID: PMC5793364.
冬木晶子. 特殊な便秘症巨大結腸症,偽性腸閉塞. Pharma Medica. 2017;35(9):53-6.
板橋道朗, 飯塚文瑛, 白鳥敬子, 亀岡信悟. 中毒性巨大結腸症の診断と治療. 日本臨牀. 2012;70(増刊号1):457-61.
配信: Medical DOC
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