ザイゴマインプラントは、上顎の頬骨(ザイゴマ)にインプラントを固定する方法で、顎骨が不足していてもインプラント手術が可能とされている治療法です。従来のインプラント治療が難しいと診断された方にとって、有効な選択肢となることも少なくありません。
本記事ではザイゴマインプラントについて以下の点を中心にご紹介します。
ザイゴマインプラントとは
ザイゴマインプラントのメリット・デメリット
ザイゴマインプラントの治療費の相場
ザイゴマインプラントについて理解するためにもご参考いただけますと幸いです。ぜひ最後までお読みください。
ザイゴマインプラントについて
ザイゴマインプラントとはどのようなものなのでしょうか?
以下で詳しく解説します。
ザイゴマインプラントとは
ザイゴマインプラントは、上顎の骨量が不足していてインプラント治療が難しい方におすすめな治療法です。通常のインプラントでは、顎の骨にインプラントを埋め込むため、骨が足りない場合にはサイナスリフトなどの骨再生手術が必要となり、治療完了まで半年〜1年以上かかることがあります。
一方、ザイゴマインプラントでは、上顎ではなく頬骨(ザイゴマティックボーン)にインプラントを固定するため、骨が少ない方でも治療が可能とされています。頬骨は硬く安定した骨質を持っており、インプラント体をしっかり支えられます。
ザイゴマインプラントとオールオン4の違い
骨量が少ない方に適した治療法としてザイゴマインプラントとオールオン4があります。どちらも骨の状態に合わせて上部構造を支える治療法ですが、その仕組みや適応範囲には明確な違いがあります。
ここでは、両者の違いについて詳しく説明します。
インプラントを埋め込む位置の違い
オールオン4では、上顎や下顎の骨に4本のインプラントを埋め込み、その上に複数の上部構造を固定するため、骨量が少ない方でも対応可能なケースがあるのが特徴です。
一方、ザイゴマインプラントは、上顎の骨が極端に少ない場合でも、頬骨(ザイゴマティックボーン)にインプラントを固定することで治療が可能とされています。頬骨は硬く丈夫なため、骨移植を行わずにインプラントを支えられるという特長があります。
骨量に対する適応範囲
オールオン4は、顎の骨がある程度残っている場合に適した治療法です。少ない骨量でも治療が可能とされていますが、骨が著しく吸収されてしまっているケースでは、インプラントを埋め込むだけの骨量が不足し、治療が難しくなることがあります。
これに対して、ザイゴマインプラントは、上顎の骨量が少ない場合でも頬骨にインプラントを埋め込むため、サイナスリフト(骨移植)を行わずに治療を進めることが可能とされています。
治療期間の違い
オールオン4では、骨量が少ない場合にサイナスリフトなどの骨再生手術が必要となることがあります。人工骨を埋め込み、数ヵ月間かけて定着を待ってからインプラントを埋めるため、治療期間が半年〜1年以上かかる場合もあります。
一方、ザイゴマインプラントは骨移植を必要としないため、手術当日に仮歯を装着できるケースも多く、治療期間が短縮されるという利点があります。
ザイゴマインプラントがおすすめな方
ザイゴマインプラントがおすすめな方は、以下のとおりです。
1. 上顎の骨が極端に少ない方
従来のインプラントやオールオン4は、一定の骨量が必要となります。上顎の骨が大きく吸収されてしまっている場合、骨移植によるサイナスリフトが必要となり、治療期間が長期化する可能性があります。
ザイゴマインプラントであれば、頬骨を支えにインプラントを固定するため、骨移植を行わずに治療を進めることが可能とされています。治療後、短期間で固定式の上部構造を装着できるため、日常生活への早期復帰が期待できます。
2. 顎の骨を切除した経験がある方
過去にがんといった病気により、上顎の骨を部分的に切除した方もザイゴマインプラントの適応になる場合があります。頬骨は切除の影響を受けにくく、インプラントを埋め込むために十分な強度を持っています。
骨の欠損が大きいために従来のインプラントが難しい場合でも、頬骨を活用するこの治療法で歯の機能を取り戻せる可能性があります。
3. 先天的な骨欠損がある方
生まれつき口蓋裂(こうがいれつ)や顎裂があり、上顎の骨が欠損している方にも、頬骨にインプラント体を埋め込むザイゴマインプラントが推奨されるケースがあります。
ザイゴマインプラントのメリット
ザイゴマインプラントのメリットは、以下のとおりです。
骨量が少なくてもインプラントを埋入できる
これまで述べてきたように、ザイゴマインプラントの主なメリットは、上顎の骨量が著しく不足している場合でも、インプラント治療を受けられる可能性があるところです。
上顎の骨が大きく吸収されてしまうと、従来のインプラント治療では対応が難しく、骨移植手術を検討する必要が出てきます。しかし、ザイゴマインプラントでは、上顎の骨ではなく、頬骨(ザイゴマティックボーン)にインプラントを固定するため、骨量の不足という課題を克服できるとされています。
身体への負担を軽減できる
ザイゴマインプラントは、骨移植を必要としないため、手術の回数が少なく済み、身体への負担が軽減される治療法です。
骨移植を行わないことで感染症などのリスクが抑えられ、安全性が高い点も大きなメリットです。さらに、手術回数が少ないことで精神的な負担が減り、回復期間の短縮も期待できます。
治療期間が短い
ザイゴマインプラントは、治療期間が短いという特長があります。
顎骨の少ない方のインプラント治療では、骨移植を行った後に骨が定着するまで3ヵ月以上の期間を要し、治療完了までに1年以上かかることも少なくありません。
一方、ザイゴマインプラントは、上顎の骨が不足していても頬骨にインプラントを固定するため、骨の再生を待つ必要がありません。手術当日に仮歯を装着できるケースもあり、審美性と機能性の回復を早期に実現できる可能性があります。
これにより、治療期間の短縮だけでなく、日常生活の質も早い段階で向上することが期待できます。
配信: Medical DOC