「肛門狭窄」を発症した人に起こる症状をご存じですか?【医師監修】

「肛門狭窄」を発症した人に起こる症状をご存じですか?【医師監修】

肛門狭窄の前兆や初期症状について

急性裂肛が慢性化して慢性裂肛へ進行する場合、最初は硬い便や頻回の下痢便によって肛門の上皮に浅い裂創が生じ、痛みを伴います。多くの場合、この段階では自然に、あるいは保存的治療によって治癒します。しかし、痛みのために排便を我慢することが続き、便秘が遷延すると悪循環に陥ります。この過程で内肛門括約筋が攣縮し、浅い裂創が深くなり、感染を伴うことで筋層まで炎症が波及することがあります。その結果、内肛門括約筋が硬化し、肛門管上皮が線維化され、さらに肛門狭窄が進行します。

初期の段階では症状が軽微で気づかれにくいことがありますが、多くの場合、時間の経過とともに悪化します。主な症状としては便秘、排便時の痛み、細長い便、排便後の鮮血が挙げられ、これらは患者さんの生活の質を大きく低下させます。また、炎症性腸疾患であるクローン病に関連して肛門狭窄をきたすことが知られており、適切な診断と治療が不可欠です。
症状が現れた際は外科、肛門外科、消化器内科を受診しましょう。

肛門狭窄の検査・診断

肛門狭窄の診断は、小児と成人で異なる手順が必要とされ、それぞれの対象に適した方法が用いられます。症状の原因と重症度を明確にすることは、適切な治療計画を立てるための重要なステップです。

小児の場合、先天性の肛門狭窄が疑われる際には、診断確定のために腹部超音波検査や造影検査、CT、MRIなどの画像検査が実施されますまた、肛門部位に関する異常が疑われる場合には、外肛門括約筋の機能を評価する筋電図検査も行われることがあります。

成人の肛門狭窄では、まず症状や病歴を詳細に聴取し、過去の手術歴や治療歴を確認することが診断の第一歩となります。その後、直腸指診や肛門鏡、直腸鏡検査を通じて、狭窄の部位や程度を評価します。必要に応じて、肛門内圧の測定を行い、肛門括約筋の状態をより詳しく調べることもあります。

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