肛門狭窄の治療
低位鎖肛に関連する肛門狭窄の治療として、ブジー(肛門拡張術)が用いられることがあります。この処置は、拡張器を用いて肛門を徐々に広げる方法で、1日2回程度、数週間にわたって実施されます。治療は細い拡張器から開始し、少しずつサイズを大きくしながら正常な大きさに戻すことを目指します。しかし、ブジーだけでは十分な改善が得られない場合や症状が重度の場合、時期を見て肛門形成術などの外科的治療が必要になることがあります。
成人の肛門狭窄治療では、まず便通を改善することが重要です。十分な水分摂取を心がけ、整腸剤や軟便剤を使用して自然な便通を回復させることで、肛門の状態を改善できる場合があります。目標とする便の硬さはブリストルスケールで4~5程度であり、この範囲で便通が安定するよう調節を行います。
食事療法や下剤による治療が効果を示さない場合には、ブジーを実施します。それでも改善が見られない場合には、肛門形成術や括約筋切開術などの外科的治療を検討します。
肛門狭窄になりやすい人・予防の方法
排便は、私たちの日常生活において欠かせない基本的な生理現象です。しかし、肛門狭窄の症状があると、排便のたびに苦痛や不快感が伴い、生活の質に大きな影響を及ぼすことがあります。さらに、排便が困難になることで心理的な負担が増し、日常生活が排便の問題に支配されてしまうケースも少なくありません。
先天性の肛門狭窄症の場合でも、早期に診断を受けて適切な治療を行えば、多くのケースで症状が改善される可能性があります。
便秘や排便困難などの症状に気づいた場合は、放置せず早めに医療機関を受診することをお勧めします。適切な治療を受けることで、排便の問題から解放され、健康的で快適な日常生活を取り戻すことができるでしょう。
関連する病気
炎症性腸疾患
痔核
放射線治療後の狭窄
参考文献
Anal Stenosis: What It Is, Symptoms, Causes & Treatment
鎖肛(直腸肛門奇形) | 獨協医科大学埼玉医療センター小児外科
肛門疾患・直腸脱ガイドライン
低位鎖肛, 肛門狭窄症 – 排便障害の鑑別と治療. 木村俊郎; 渕本康史.小児内科 , 02/2021, 巻 53, 号 2
[肛門疾患のすべて解剖から最新治療まで]裂肛・肛門狭窄の診断と治療. 紅谷鮎美; 宮島伸宜; 岡本康介ら.消化器外科 , 08/2024, 巻 47, 号 8
配信: Medical DOC
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