『懲戒解雇のリアル1』より / 画像提供/たぬじろうさん
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョンマンガ部」。今回は、『食っていけない弁護士』の1エピソード、『懲戒解雇のリアル1』を紹介する。作者のたぬじろうさんが、1月24日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、2000件を超える「いいね」やコメントが多数寄せられた。本記事では、たぬじろうさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
■懲戒解雇を言い渡した相手からの言い分で発覚した思わぬ事態
『懲戒解雇のリアル1』より / 画像提供/たぬじろうさん
弁護士であるたぬじろうさんは、ある人から労働者を懲戒解雇したときの話を聞いていた。その際労働者からは懲戒解雇にあたって就業規則を求められたが、労働者が10人未満のため「そんなものはない」と一喝したというのだ。
たぬじろうさんの驚く顔を見て、その人は得意げに「あれ?先生知らないんですか?」「うちは労働者10人未満なのでいらないんですよ」と就業規則に関する知識を披露。だがたぬじろうさんが驚いていた理由は、使用者が懲戒解雇の裏技を発見したことではなく…。
この懲戒解雇に関する漫画を読んだ人たちからは、「懲戒する規則がないよ」「法がないなら罰せないのよ」「こういうことも知ってないとわからないよね」「よく考えればわかるものなんだけどな」など、多くのコメントが寄せられている。
■雇用側、労働者側も理解をしていないとハマってしまう落とし穴
『懲戒解雇のリアル1』より / 画像提供/たぬじろうさん
――『懲戒解雇のリアル1』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
フォロワーの方からネタを提供していただき、漫画にさせていただきました。ちなみに実話だそうです(ヒエッ)。法律をよく分かっていない使用者の方も多いので、こういうことも起きるんですよね。使用者側も、労働者側も、法律を知らないことは怖いことだと思っています。少しでも法律知識を広めることができればと思って漫画を描いているので、良いケースだと思って題材に使わせていただきました。
――本作を描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあればお教えください。
使用者が自分がしたことの重大性を全然認識していないとこ、ですかね…?現実の世界でも、解雇が到底できないようなケースで、簡単に解雇が言い渡されていることがあります。「笑えるけど、笑えない」そう思っていただけると嬉しいです。
ちなみに、就業規則は「常時10人以上の労働者を使用する使用者」に作成義務が課されます(労働基準法89条柱書)そのため、これに当てはまらない漫画の使用者には、就業規則の作成義務はないのです。ないのですが(以下漫画参照)
――ストーリーを考えるうえで気をつけていることや意識していることなどについてお教えください。
現実に起きている「弁護士あるある」をネタに使うことそして、できれば法律知識の普及になることを意識して描いています。クスッと笑えてタメになる漫画にできたらいいなと思っています。
――今回の懲戒解雇など、働くうえで特に知っておくべき法律などをお教えください。
具体的に挙げたらキリがないのですが(笑)、総論としては、「労働者の権利はとても強い!」ということを知っておいていただけると良いと思います。例えば、そう簡単に労働者を解雇するなんて出来ないはずですが、現実的には驚くほどカジュアルに解雇がされていたりします。余程の事情がないと解雇は無効になるケースが多いと思います。
そして、画像一覧(↓)の四コマでもネタにしていますが、解雇が無効と判断されると、働かずに自宅にいた期間も給料が発生します。
なので、解雇されてしまった労働者の方は、一度、弁護士に相談してみるのが良いと思います(そのような会社の場合には、未払賃金があるケースも結構多いと思います)。他にも知っておいた方が良いことは漫画にしていますので、良かったら見てやってくださいな。
――今後の展望や目標をお教えください。
書籍化をしたいというのが、2025年の目標です(でした)。これについては、ウォーカープラスにて連載させていただいた「知るほど怖い 知らないともっと怖い 法律の闇」が書籍化していただける予定になりました。嬉しい!
ただいま書き下ろし漫画も鋭意製作中ですので、出版された際には是非見てやってください。弁護士の仕事は、ご依頼くださった一部の人だけにしか直接的には貢献できませんが、漫画で法律知識を広めることで、より広く皆様に貢献できたらいいなと思っております!!
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
これからも弁護士のたぬじろうをよろしくお願いします。X(旧ツイッター)にて漫画も投稿しています。よかったらフォローしてやってくださいー。
配信: WEBザテレビジョン
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